○職員の分限処分に関する指針

令和5年3月9日

訓令第2号

第1 趣旨

分限処分は、公務の適正かつ能率的な運営を確保することを目的に、一定の事由によりその職責を十分果たすことができないと認められる職員に対して、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)の規定に基づき、職員の分限についての手続き及び効果に関する条例(昭和26年月形町条例第56号)及び職員の分限についての手続き及び効果に関する条例施行規則(令和5年月形町規則第2号。以下「規則」という。)並びに適格性を欠く職員の分限に関する取扱要綱(令和5年月形町訓令第1号。以下「要綱」という。)に定める具体的な手続き等により、降任、免職及び休職の処分を行うものです。

この指針は、これら分限処分の考え方や手続きを明確にし、適正に運用するために必要な事項を定めるものとします。

第2 分限処分の考え方

任命権者は、公務の適正かつ能率的な運営を確保するため、職務を遂行することができない、又は職務の遂行に支障が生じているなどの状況にあり、職員がその職責を十分に果たすことができないと認められる場合には、こうした状況を放置せずに職務遂行の状況が改善されるよう、その原因に応じて必要な措置を講ずる必要があります。必要な措置を講じてもなお、状況に改善がみられず、職責を十分に果たすことができないと認められる場合には、その状況に応じた分限処分の検討を行います。

1 職務を遂行することができない、又は職務の遂行に支障が生じている状況

(1) 職務遂行に必要な知識や能力等が不足しており、割り当てられた職務を遂行しても実績があがらない、又は出勤状況や勤務状況が不良であり、割り当てられた職務の遂行に支障が出ている場合

(2) 簡単に矯正することができない持続性のある素質、能力、性格等が原因となり、職務の円滑な遂行に支障が出ている、あるいは支障を生じる可能性が極めて高いと認められる場合

(3) 心身の故障のため、長期の休養を要する場合、若しくは心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合

2 その原因に応じた必要な措置

職務を遂行することができない、又は職務の遂行に支障が生じていると認められる状況が職員に発生している場合には、職務遂行の状況が改善されるよう、その原因に応じて必要な措置を講ずる必要があります。具体的には以下のような措置を講ずることになりますが、その際には所属長を中心に職場全体で協力し、当該職員の職務遂行の改善が図られるよう努めることとします。

(1) 職務遂行に必要な知識や能力が不足している場合、出勤状況や勤務状況が不良である場合、素質、能力、性格等が原因となっている場合

・・・一定期間にわたり注意や指導を繰り返すなどして改善を促します。

(2) 心身の故障が原因である場合

・・・本人に療養を促すとともに療養に専念できる職場環境を整えるとともに、職場において本人の状況に配慮します。

3 その状況に応じた処分

必要な措置を講じてもなお、状況に改善がみられず、職員が職務を遂行することができない、又は職務の遂行に支障が生じていると認められる場合や、心身の故障が治癒しないと認められる場合には、その状況に応じ要綱に則して処分を行います。具体的な処分としては以下のようなものがあり、職員の懲戒処分等に関する基準(平成20年月形町訓令第5号)第8条第1項に規定する懲戒処分等審査委員会(以下「委員会」という。)に対し、当該職員に対する分限処分の要否について意見を求め、処分(休職を除く。)を行います。

降任・・・職員を現に任命されている職より下位の職位に任命することをいい、下位の職位であれば良好な職務遂行が期待できる場合に適用します。

免職・・・職員としての身分を失わせることをいい、下位の職位であっても良好な職務遂行が期待できない場合又は心身の故障などが原因で職務遂行ができない場合などに適用します。

休職・・・仕事を休むように命ずることをいい、心身の故障のため長期の休養を要すると認められる場合に適用します(医師の診断書により任命権者が判断)

○職務遂行に支障が生じている原因と地方公務員法の適用規定・処分内容一覧

職務遂行に支障が生じている原因

地方公務員法の適用規定

処分の内容

心身の故障以外

職務遂行に必要な知識や能力等が不足しており、割り当てられた職務を遂行しても実績があがらない又は出勤状況や勤務状況が不良であり、割り当てられた職務の遂行に支障が出ている場合

勤務実績がよくない場合

(第28条第1項第1号)

・下位の職位であれば良好な職務遂行が期待できる場合・・降任

・下位の職位でも良好な職務遂行が期待できない場合・・免職

簡単に矯正することができない持続性のある素質、能力、性格等が原因となり、職務の円滑な遂行に支障が出ている、あるいは支障が生じる可能性が極めて高いと認められる場合

その職に必要な適格性を欠く場合

(第28条第1項第3号)

心身の故障

心身の故障のため病気休暇の満了後も引き続き休養を要すると認められ、かつ規則第3条により任命権者が定める休職期間内に職場復帰が見込まれる場合

心身の故障のため、長期の休養を要する場合

(第28条第2項第1号)

休職(最長3年)

規則第3条により任命権者が定める休職期間が満了(休職を繰り返しその累計が休職期間に達する場合も含む。)するにもかかわらず、心身の故障の回復が不十分で職務遂行が困難である場合又は休職期間満了前であっても、休職期間内には回復の見込みが乏しい場合

心身の故障のため、職務の遂行に支障があり又はこれに堪えない場合

(第28条第1項第2号)

免職

仕事を休むまでには至らないが、将来回復の可能性がない又は回復の見込みの乏しい心身の故障のため、職務の遂行に支障があり又は職務の遂行に堪えない場合

・下位の職位であれば良好な職務遂行が期待できる場合・・降任

・下位の職位でも良好な職務遂行が期待できない場合・・免職

任命権者が、心身の故障により職務の遂行に支障があり又は職務の遂行に堪えないと疑われる職員に対して行う受診命令に職員が応じない場合

その職に必要な適格性を欠く場合

(第28条第1項第3号)

免職

職員が1ヶ月以上行方不明になった場合

第3 分限処分の手順・手続等

1 職務を遂行することができない、又は職務の遂行に支障が生じている職員の把握

所属長は、職務を遂行することができない、又は職務の遂行に支障が生じていると認められる職員を、人事評価、勤務状況等により把握します。

なお、具体的事実の例として、参考1のとおり示します。

2 その原因の把握

所属長は、当該職員が職務を遂行することができない、又は職務の遂行に支障が生じている原因が、職員の心身の故障によるものか、それ以外によるものかを、所属所員、産業医等と連携して確認します。その結果、心身の故障が疑われる場合には、医師の受診を勧奨して診断書の提出を求めることとします。

3 職務遂行の改善又は心身の故障の治療のための措置の実施等

(1) 心身の故障以外が原因である場合

ア 職務遂行改善の指導

所属長は、職務を遂行することができない、又は職務の遂行に支障が生じている職員に対して、一定期間にわたり注意・指導を繰り返し行うほか、必要に応じて、担当職務の見直しを行うなどして、職務遂行の状況が改善されるように努めるものとします。

イ 勤務状況記録報告書の提出

アの措置を一定期間継続して行っても職務遂行の状況に改善又は是正が見られない場合には、当該職員の勤務状況記録報告書(要綱第1号様式)を作成し、総務課長に報告し、総務課長は当該職員の配置転換の実施やその要否について検討します。

ウ 行動記録票作成開始通知書兼警告書の交付・弁明の機会の付与

イの措置を実施しても職務遂行の状況に改善が見られない場合には、総務課長は任命権者に報告し、当該職員に対して、行動記録票(要綱第2号様式)の作成を開始し、次の内容を記載した行動記録票作成開始通知書兼警告書(要綱第3号様式)を交付するものとします。また、行動記録票作成開始通知書兼警告書を交付した場合には、必要に応じて弁明書(要綱第4号様式)により当該職員に弁明の機会を与えるものとします。

(ア) 職務を遂行することができない、又は職務施行に支障が生じていると認められる具体的事実

(イ) 職務を遂行することができない、又は職務施行に支障が生じていると認められる状態の改善を求める旨の文言

(ウ) 今後、これらの状態が改善されない場合には、法第28条第1項第1号又は第3号に基づいて分限処分が行われる可能性がある旨の文言

エ 行動記録票作成開始通知書兼警告書交付後の観察

任命権者は、行動記録票作成開始通知書兼警告書の交付後、6月以上の期間、注意・指導等を行いつつ、職務遂行の状況が改善されているかどうか、注意深く観察・確認を行います。ただし、当該職員の勤務実績不良等の程度、業務への影響等を考慮して、速やかに処分を行う必要があると認められる場合は、期間を短縮することができます。

オ 分限処分

任命権者は、アからウまでの措置を講じたにもかかわらず、職員の職務遂行の状況が改善されていないことにより当該職員が法第28条第1項第1号又は第3号に該当すると判断した場合には、この事実を明らかにする関係書類を添えて委員会に対し、当該職員の分限処分について意見を求め、処分を行うものとします。

(2) 心身の故障が原因である場合

ア 心身の故障を治療するために休養を要する場合

任命権者は、心身の故障を治療するため、病気休暇期間(90日)満了後も引き続き休養が必要であると認められ、かつ、休職期間以内に職場復帰が見込まれる職員に対しては、医師の診断書に基づき、必要と認められる期間の休職を発令するものとします。

また、休職からの職場復帰の過程は職員試し出勤実施規程(令和5年月形町訓令第3号)に基づき個々のケースに応じて個別に判断するものとします。

イ 心身の故障が治癒せず、職務の遂行に支障があり、又は堪えない場合

任命権者は、職員が下記の状態に該当する場合には、病状等を確認するため医師2名を指定して当該職員に受診を勧奨し、診断書の提出を求めるものとします。

診断の結果、指定した医師2名のうち少なくとも医師1名から、引き続き休養を要する又は休養によっても治癒しがたい心身の故障があるとの診断があり、当該心身の故障のため職務の遂行に支障があり、又は職務の遂行に堪えない状態にあることが明らかな場合には、この事実を明らかにする関係書類を整えて分限処分を行うものとします。

また、医師2名が、引き続き休養を要する又は休養によっても治癒しがたい心身の故障があるとは診断しなかった場合には、職員本人及び所属長、主治医、産業医等と相談のうえ、円滑な職場復帰を図っていくなどの対応を行うこととし、当該職場復帰によってもなお、職務遂行に支障があると疑われる状態が続く場合には、「心身の故障以外が原因である場合」の措置を適用するものとします。

(ア) 病気による休職期間が満了するにもかかわらず、心身の故障の回復が不十分で職務の遂行に堪えない(職場復帰できない)と考えられる場合又は現在の職位のままで職場復帰すると職務の遂行に支障が生じると疑われる場合

(イ) 休職期間の満了前であっても、休職期間内には職場復帰の見込みが極めて乏しいと疑われる場合

(ウ) 病気休暇や病気による休職を繰り返してそれらの期間の累計が休職期間を超え、そのような状態が今後も継続して、職務の遂行に支障があると見込まれる場合

(エ) 仕事を休むまでには至らないが、将来回復の可能性がない又は回復の見込みの乏しい心身の故障のため、職務の遂行に支障があり又は職務の遂行に堪えないと疑われる場合

ウ 受診命令に応じない場合

任命権者は、休職期間が満了するにあたって心身の故障の回復が不十分で、職務遂行に支障があると疑われる職員に対しては、その理由を明らかにし、又は病状等を確認するため、必要の都度受診を勧奨するものとします。

職員が当該受診勧奨に応じない場合は、職務命令として受診を命ずるものとし、再三にわたり受診を命じたにもかかわらずこれに従わない場合には、受診命令書(要綱第7号様式)により受診命令を行うものとします。

当該書面による受診命令にも従わない職員に対しては、これを職員に必要な適格性を欠くものと判断し、この事実を明らかにする関係資料を整えて処分(免職)を行うものとします。

エ 行方不明の場合

任命権者は、原則1月以上無断で欠勤し、かつ、当該職員の親族が行方を把握していないことが明らかな職員(意図的に継続して無断で欠勤するなど懲戒事由に該当することが明らかな場合又は火災その他の災害によることが明らかな場合を除く。)については、これを職員に必要な適格性を欠くものと判断し、この事実を明らかにする関係資料を整えて処分(免職)を行うものとします。

ただし、事件性があるなど特別の事情があると認められる場合には、この期間を延長するものとします。

第4 記録等

職員に職務を遂行することができない、又は職務の遂行に支障が生じていると認められる場合には、当該職員の言動や事実について、できるだけ客観的かつ具体的な記録や資料を作成するとともに、その改善のために行った注意や指導等の措置及び当該措置後の職員の状態についても、その都度詳細な記録を残すものとします。

なお、客観的な資料の例として、参考2のとおり示します。

第5 懲戒処分との関係

職員の職務を遂行することができない又は職務の遂行に支障が生じていると認められる状況が、懲戒処分の対象となる場合には、任命権者は、総合的な判断に基づいて懲戒処分を行うなど厳正に対応するものとします。

また、再三にわたり注意や指導を行っても頻繁に繰り返される、又はその職位にふさわしくないなど、その職に必要とされる適格性を欠くと認められる場合には、併せて分限処分を検討します。

この指針は、令和5年4月1日から施行する。

参考1 分限事由に該当する可能性のある職員の具体的事例

分限事由に該当する可能性のある職員(以下「対象職員」という。)の事例は、概ね次のようなものがあります。なお、個々の例が法第28条第1項第1号の勤務実績不良又は同条同項第3号の適格性欠如のいずれに該当するかについては、諸般の要素を総合的に検討して判断する必要があります。

また、問題行動の中には、同時に懲戒処分の対象となる事実も含まれている場合があることから、当該事実を把握した任命権者は、分限処分と懲戒処分の目的や性格に照らして、総合的な判断に基づいてそれぞれ処分を行うなど厳正に対応する必要があります。

1 勤務実績不良又は適格性欠如(以下「勤務実績不良等」という。)の場合

(1) 初歩的な業務上のミスを繰り返し、又は業務の成果物若しくは処理数が職員の一般的な水準に比べて著しく劣る。

(2) 所定の業務の処理手続きを無視し、又は上司への報告、相談等を怠るなどして、独断で業務を行う。

(3) 業務を1人で処理することができず、常に上司、他の職員等の支援を要する。

(4) 所定の業務に係る処理の期限を守らず、又は正当な理由なくその業務を行わない。

(5) 正当な理由なく、上司の指導又は職務命令に従わない。

(6) 勤務時間中、頻繁に無断で自席を離れ、又は業務に関係しない電話、電子メール又はインターネットに興じるなどして職務に専念しない。

(7) 事前に年次休暇等を申請せずに欠勤を繰り返す、連絡なく遅刻・早退をする等が頻繁にあり、業務に著しい支障を及ぼす。

(8) 指定された研修等を欠席することが頻繁にある。

(9) 心身の故障による休職から復職したにもかかわらず、出勤状況又は勤務実績が改善しない。

(10) 上記(1)から(9)までに掲げる事例以外で、勤務実績不良等が認められる。

2 心身の故障の場合

(1) 病気休職の期間が満了するにもかかわらず、病状が回復せず、今後も職務の遂行に支障がある。

(2) 病気休職中であるが、今後回復して就労が可能となる見込みがない。

(3) 病気休職から復職後、1年以内に再度の病気休職(心身の故障の内容が明らかに異なる場合を除く。)となり、休職期間が通算して休職期間に至るにもかかわらず、病状が回復せず、今後も職務の遂行に支障がある。

3 適格性欠如の場合

(1) 上司や他の職員等に対する暴力、暴言、誹謗又は中傷を繰り返す。

(2) 協調性に欠け、上司や他の職員等ともめごとを繰り返す。

(3) 粗暴な言動等により町民ともめごとを繰り返す。

(4) 受診命令書を交付して再三にわたり指定する医師の診察を受けることを命令したにもかかわらず、これに従わない。

(5) 1月以上にわたり、行方不明となっている。

(6) 公務員に必要な適格性に疑問を抱かせるような問題行動を繰り返す。

参考2 勤務実績不良又は適格性欠如を証明するための客観的な資料の例

1 人事評価結果その他職員の勤務実績を判断するに足ると認められる事実を記録した文書

2 事務実績が他の職員と比較して明らかに劣る事実を示す記録

3 仕事上の失敗・トラブル、苦情等の記録

4 指導に関する記録、対話に関する記録

(1) 職務命令に従わない等、その職にふさわしくない言動に関する記録

(2) その職に必要な能力、適性、知識を有していない事実に関する記録

5 服務に関する記録(懲戒処分、分限処分等の記録を含む。)

6 職務状況に関する報告

7 研修、業務の割り振り変更や他の職への配置換えの結果報告

職員の分限処分に関する指針

令和5年3月9日 訓令第2号

(令和5年4月1日施行)