指定管理者との協定書作成に係る事務手続について
 
(質問)
 公の施設の管理について、指定管理者を指定して行わせようと考えているが、協定書の作成に当たり、次の点について教示願いたい。
 @協定書には、指定管理者に支払う指定管理料の額を規定することになると考えるが、当該額に係る印紙を協定書に貼付する必要があるか。
 A指定管理料の支出科目を委託料とすることは問題がないか。
 B指定管理料に係る消費税を計算するに当たり、人件費相当分を含んだ全額が課税対象となるか。

(回答)
1 指定管理者制度と課税体系
(1) 指定管理者制度の趣旨
 地方自治法第244条の2第3項に規定する「指定管理者制度」は、従来の「管理委託制度」の方式から、法律を根拠とする「管理権限の委任」の方式へと変更したものであり、指定管理者の指定は契約ではなく、公の施設を管理する権限自体は、指定という行為によって生じるものです。したがって、地方公共団体として指定管理者との関係は取引関係には当たらないと解されています(逐条地方自治法第2次改訂版(学陽書房)932・933p)。
 また、「指定管理者が当該公の施設の管理を行う権限自体は、条例に基づく指定という行為によって生じるものであって、別に契約を結ぶことは不要であるが、管理の基準や業務の範囲等条例で定める事項のほか、事業報告書の提出期限、委託料の額、委託料の支払方法、施設内の物品の所有権の帰属等の管理業務の実施に当たっての詳細な事項については、両者による協議で定めることもあり得るものであり、この場合には、別途両者の間で協定等を締結することが適当である。」としています(「地方自治」15年8月号(ぎょうせい)31p)。
(2) 課税体系
 次に、公の施設の管理を指定管理者に行わせることは、地方自治法に根拠を有するもので、その性格は、地方公共団体が指定管理者からサービスの提供を受けてその対価を支払う関係であり、消費税の課税対象である「資産の譲渡等」に該当するものと解されます。
 そして、地方消費税の課税標準は、消費税の課税標準である「資産の譲渡等の対価の額」ではなく消費税額を用いることとされ、その課税については消費税の課税のしくみを活用することとして、課税客体、非課税、免税の範囲等を同一にしています。
 したがって、委託料には消費税及び地方消費税が課税されます(地方財務実務提要第2巻(ぎょうせい)3233・10p)。
2 事案の検討
 それでは、上記の点を踏まえて事案を検討することとします。
(1) 質問@について
 印紙税法第2条で別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、印紙税を課すると規定されています。
 他方、指定管理者の指定は法律を根拠とする委任ですので、別に契約を結ぶことは不要とされていますが、指定管理者からサービスの提供を受けてその対価として支払う委託料の額、支払方法など管理業務の実施に当たっての詳細な事項について、協定書(契約書とは、協定書も含むと解されています(印紙税の手引(税務署)5p)。)で締結することになると考えます。
 したがって、管理業務の実施に関する協定書は前記別表第一の番号二の「請負に関する契約書」に該当するものと考えられることから、所定の印紙を貼付する必要があると考えます。
 ただし、同法第5条第2号の規定により、地方公共団体が契約当事者として相手方に交付する協定書には、収入印紙を貼付する必要はありません(指定管理者が町村に交付する協定書には貼付が必要です。)。
(2) 質問Aについて
 指定管理料に係る支出科目については、指定管理料が従来の委託料と実質的に差異がないものと考えられることから、委託料が適当と考えます。
(3) 質問Bについて
 消費税法第2条第1項第8号では、課税対象となる「資産の譲渡等」について、「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう。」と定義していることから、指定管理者からのサービスの提供も「資産の譲渡等」に該当するものと考えます。
 次に、「資産の譲渡等」の要件についてですが、「事業者が事業として」行われる取引に限定されることから、例えば、支払給料や賃金は労働の対価であって「事業として」行う資産の譲渡等の対価ではないので、該当しません。
 また、「対価を得て行う」とは、反対給付の伴う給付、すなわち、対価性のある給付を行うことを意味することから、例えば、現物出資や補助金は「対価」にはならないので、同様に該当しません(地方公務員のための消費税基礎知識(ぎょうせい)91・92p)。
 なお、上記のとおり、支払給料、賃金等には消費税が課税されませんが、加工賃や人材派遣料のように事業者が行う労働やサービスの提供の対価には消費税が課税されますので、加工賃や人材派遣料、警備や清掃などを外部に委託している場合の委託料などは課税仕入れとなるとされています(仕入税額の控除の対象となるもの(国税庁HPタックスアンサー))。
 以上のことから、指定管理者は「事業者が事業として」サービスを提供し、地方公共団体はそのサービスの提供を受けて「対価」を支払っているのであって、労働の対価として従業員に給料や賃金を支払っているわけではないことから、指定管理料の全額が消費税の課税対象になるものと考えます。