○斜里町コンプライアンスの推進等に関する条例

令和3年6月25日

条例第6号

(目的)

第1条 この条例は、職員の職務に係る倫理原則を明確にし、公平かつ公正な町政運営を確保するための体制を整備することで、町民に信頼される町政の確立を目指し、もって公共の利益の保護に資することを目的とする。

(用語の意義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 職員 次に掲げる者をいう。

 地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第3条第2項に規定する一般職に属する職員

 町長、副町長及び教育長

(2) 事業者等 次に掲げる者をいう。

 町から事務又は事業を受託したもの(以下「受託者」という。)並びにその役員及び受託した業務に従事している者

 指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいう。以下同じ。)並びにその役員及び管理の業務に従事している者

(3) 任命権者 法第6条第1項に規定する任命権者をいう。

(4) 法令 法律、法律に基づく命令(告示を含む。)、条例、規則、規程、要綱等をいう。

(5) コンプライアンス 職員が、法令を遵守することを基本に、第3条に規定する倫理原則に基づき職務を遂行することをいう。

(6) 公益通報 職員において町が実施する事務若しくは事業に関し、又は事業者等において町から受託した事業若しくは指定管理の協定を行った担当事業に関し、次のいずれかの行為が生じ、若しくは生じようとしていると思料する場合に行う通報をいう。

 法令に違反する行為

 人の生命、身体、財産その他の利益を害する行為

 公益に反する行為又は公正な職務を損なう行為

(7) 公益通報者 公益通報を行った職員又は事業者等をいう。

(8) 働きかけ行為 職員に対し、職務に関し正当な理由なく次に掲げることを求める行為で職員の公正な又は正当な職務の遂行を妨げることを働きかける行為(暴力的行為、脅迫、恫喝その他の社会的常識を逸脱した手段によるものを含む。)をいう。

 特定の法人その他団体又は個人(以下これらを「者」という。)に対して有利な又は不利な取扱いをすること。

 特定の者に対して権利の行使を妨げること。

 職務上知り得た秘密を漏らすこと。

 遂行すべき職務を行わず、又は定められた期間までに行わないこと。

 人事(職員の採用、昇任、懲戒、分限等をいう。)の公正を害すること。

 からまでに掲げるもののほか、法令に違反すること又は職員としての倫理に反することを行うこと。

(職員の倫理原則)

第3条 職員は、全体の奉仕者であることを自覚し、正当な理由なく一部のものに対して有利な又は不利な取扱いをする等の不公正な扱いをしてはならず、常に町民の立場に立って真摯に職務を遂行しなければならない。

2 職員は、職務の遂行にあたり、法令を遵守し、不当な要求又は行為に対し、毅然として対応しなければならない。

3 職員は、自らの行動が町全体の信用に影響を及ぼすことを認識し、その職務や地位を私的な利益のために利用してはならない。

4 職員は、職務上知り得た情報について、秘密を確保する等適正に管理しなければならない。

5 職員は、町政に対する説明責任を果たし、行政の透明化を推進するよう努めなければならない。

(任命権者の責務)

第4条 任命権者は、公益通報者の保護、働きかけ行為への適切な対応ができる体制の整備が図られるよう職員研修を実施する等、この条例の目的を達成するために必要な措置を講じなければならない。

(職員の責務)

第5条 職員は、第3条に規定する倫理原則に従い公益通報を行う等不正な行為の防止及び早期発見に努め、不正な行為を認識していながら放置してはならない。

(禁止行為)

第6条 何人も、職員に対し、公正な職務の遂行を損なうおそれのある行為を要求してはならない。

(コンプライアンス審議員の選任)

第7条 公益通報及び働きかけ行為に関する調査、審査等を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定により、次に掲げる者のうちから、斜里町コンプライアンス審議員(以下「審議員」という。)を1名選任する。ただし、必要に応じて2名以上を選任することができる。

(1) 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)

(2) 法律に関し優れた識見を有する者

2 審議員の所掌事務は、次に掲げる事項とする。

(1) 第10条に規定する公益通報の調査及び審査に関する事項

(2) 第15条に規定する働きかけ行為の調査及び審査に関する事項

(3) 前各号に掲げるもののほか、公益通報及び働きかけ行為に関し必要な事項

3 審議員の身分は、法第3条第3項第3号に基づく特別職とする。

4 審議員の任期は、3年とする。ただし、再任を妨げない。

5 審議員は、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。また、その職を退いた後も同様とする。

6 審議員を2名以上選任し審議員における協議が必要な場合は、審議会を設置することができる。

7 前各項に定めるもののほか、審議員の事務に関し必要な事項は、規則で定める。

(コンプライアンス委員会の設置)

第8条 町における法令遵守と職員倫理の醸成を組織的に推進するため、庁内に斜里町コンプライアンス委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

2 委員会の所掌事務は、次に掲げる事項とする。

(1) 第11条に規定する公益通報の調査に関する事項

(2) 第16条に規定する働きかけ行為の調査及び必要な措置に関する事項

(3) 前各号に掲げるもののほか、公益通報及び働きかけ行為に関し必要な事項

3 前各項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(公益通報)

第9条 職員及び事業者等は、公益通報を行うことができる。

2 公益通報を行うにあたっては、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 実名で行うこと。ただし、公益通報の事実が確実にあると信ずるに足りる根拠を審議員又は委員会に示すことができる場合は、この限りでない。

(2) 書面(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によって認識することができない方式で作られる記録を含む。以下同じ。)を審議員又は委員会が指定する場所へ送付することにより行うこと。

(3) 確実かつ客観的な資料に基づき誠実に行うこととし、対象職員への誹謗中傷をする又は損害を加える目的、不正の利益を得る目的、その他不正な目的により、この制度を濫用してはならない。

3 職員及び事業者等は、公益通報をしようとする内容が通報対象に該当するかどうかについて、あらかじめ審議員に相談することができる。

(公益通報に係る審議員の調査等)

第10条 審議員は、公益通報を受けたときは、当該公益通報の内容についての調査及び審査を行うものとする。

2 審議員は、前条に規定する公益通報に係る書面が到達したときは、遅滞なく調査を開始し、通報対象該当の適否について、当該通報の日から1箇月以内に通報者へ通知しなければならない。ただし、前条第2項第1号ただし書の規定による場合は、この限りでない。

3 審議員は、委員会から通知のあった公益通報(次条第2項の規定により報告され、審議員が調査の必要があると認めるものを含む。)についての調査及び審査を行うものとする。

4 前各項の規定にかかわらず、審議員は、調査の結果、公益通報の内容が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、審査を開始しない旨の決定をすることができる。ただし、審議員が審査の必要があると認めるときは、この限りでない。

(1) 監査委員による監査がされており、又は監査が終了したものであるとき。

(2) 係属中の争訟に係るもの又は判決、裁決等がされたものであるとき。

(3) 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の規定による告訴若しくは告発をされたもの又は捜査機関による捜査が行われており、若しくは捜査が終了したものであるとき。

(4) 不正な行為が是正されるとともに、再発を防止するために必要な措置が講じられているものであるとき。

5 審議員は、公益通報に係る調査を行うにあたっては、あらかじめ委員会に報告するものとする。ただし、報告した場合において証拠が隠蔽されるおそれがあるときその他報告することが適当でないと認められる相当な理由があるときは、当該報告をしないことができる。

6 審議員は、審査の結果、公益通報の内容が事実であると認めるときは意見を付して、公益通報の内容が事実でないと認めるとき又は事実の存否が明らかにならないときはその旨を町長、任命権者(町長を除く。次条第2項第15条第2項及び第16条第2項において同じ。)及び委員会に通知するものとする。

7 審議員は、前項の通知において、本人の同意を得た場合を除き、公益通報をした職員等及び町民(以下「公益通報者」という。)が特定される情報は、報告しない。

8 第1項の調査の対象となる者は、調査に協力しなければならない。

9 審議員は、次条における委員会の調査結果を踏まえたうえで審査した結果について、公益通報者に通知しなければならない。ただし、匿名の公益通報者又は通知を希望しない公益通報者については、この限りでない。

10 審議員は、任命権者が正当な理由なく第13条第1項の規定による措置を講じなかった場合は、これを公表することができる。

(公益通報に係る委員会の調査等)

第11条 委員会は、公益通報を受けたときは、遅滞なく調査を行い、審議員が調査及び審査の必要があると認める公益通報について、速やかに審議員へ通知しなければならない。

2 委員会は、調査の結果、公益通報の内容が事実でないと認めるとき又は公益通報に該当しないと判断したときは、その旨を審議員並びに町長及び任命権者に報告するものとする。

3 前各項の調査の対象となる者は、調査に協力しなければならない。

4 前項の場合において、調査の対象となる者は、その際に知り得た秘密を漏らしてはならない。また、その職を退いた後も同様とする。

(不利益な取扱いの禁止)

第12条 任命権者又は事業者等は、公益通報者に対して公益通報を行ったことを理由としていかなる不利益な取扱いもしてはならない。

2 公益通報者は、公益通報を行ったことによって不利益な取扱いを受けたと思料するときは、審議員又は委員会にその是正の申立てをすることができる。

3 任命権者又は事業者等は、公益通報者を保護するため、公益通報者が特定されるおそれのある情報を公開してはならない。

(公益通報に係る措置等)

第13条 任命権者は、第10条第6項の規定により公益通報の内容が事実であるとの通知を審議員から受けたときは、審議員の意見を尊重し、事実の確認を行い、公益通報の内容が事実であると認めるときは、当該公益通報に係る行為を是正するとともに再発を防止するために必要な措置を講じなければならない。

2 任命権者は、前項の規定による措置を行ったときは、審議員に当該措置の内容を報告しなければならない。

3 任命権者は、公益通報者が公益通報を行ったことにより不利益な取扱いを受け、又は受けるおそれがあると認めるときは、直ちに改善又は防止のための措置を講じなければならない。

4 任命権者は、公益通報の内容が事実でないことが判明した場合において、当該公益通報に係る関係者の名誉が害されたと認めるときは、事実関係の公表その他の名誉を回復するための適切な措置を講じなければならない。

(働きかけ行為への組織的対応)

第14条 職員は、働きかけ行為があったときは、毅然として対応するとともに、その行為の内容を記録して所属長又は上司に報告しなければならない。ただし、働きかけ行為が他の職員から行われた場合は、公益通報その他の方法により適切な対処をしなければならない。

2 所属長又は上司は、前項の規定による報告を受けたときは、その記録を委員会に提出しなければならない。

(働きかけ行為に係る審議員の調査等)

第15条 審議員は、次条第1項の規定により提出された記録又は報告の内容(同条第2項の規定により報告され、審議員が調査の必要があると認めるものを含む。)について、働きかけ行為に該当するかどうかの調査及び審査を行うものとする。

2 審議員は、審査の結果、働きかけ行為に該当すると認めるときは意見を付して、該当しないと認めるときは、その旨を町長、任命権者及び委員会に通知するものとする。

3 審議員は、任命権者が正当な理由なく第17条の規定による措置を講じなかった場合は、これを公表することができる。

(働きかけ行為に係る委員会の調査等)

第16条 委員会は、第14条第2項の規定による報告があったときは、当該記録内容についての調査を行い、審議員が調査及び審査の必要があると認める記録又は報告の内容について、審議員に提出しなければならない。

2 委員会は、調査の結果、働きかけ行為に該当しないと判断したときは、その旨を審議員並びに町長及び任命権者に報告するものとする。

3 委員会は、前項の調査を行い、働きかけ行為が直ちに措置を講じなければ職務の公正を損なうおそれ又は職務に不当な影響を及ぼすおそれが高い場合には、必要な措置を講ずることができる。

4 委員会は、前項の措置を講じた場合は、第1項の規定による提出に添えて当該措置の内容を審議員に報告しなければならない。

(働きかけ行為に係る措置等)

第17条 任命権者は、第15条第2項の規定により働きかけ行為に該当するものがあるとの通知を審議員から受けたときは、審議員の意見を尊重し、事実の確認を行い、働きかけ行為を行った者に対し警告をする等必要な措置を講ずるものとする。

2 町長は、必要があると認めるときは、当該働きかけ行為を行った者の氏名、警告の内容その他の必要な事項を公表することができる。

(審議員の報酬等)

第18条 審議員の報酬は、1時間当たり20,000円に消費税を加算した額とし、分単位での支給とする。

2 費用弁償が発生した場合は、非常勤特別職の職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和36年条例第2号)第4条の規定を準用する。

(運用状況の公表)

第19条 町長は、毎年度、公益通報及び働きかけ行為の運用状況について、公表するものとする。

(委任)

第20条 この条例に定めるもののほか必要な事項は、町長が規則で別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

斜里町コンプライアンスの推進等に関する条例

令和3年6月25日 条例第6号

(令和3年6月25日施行)