○八雲町議会ハラスメント防止条例
令和8年6月5日
条例第8号
(前文)
町民から負託を受けた町議会議員及び町長並びに全ての町職員は、町政に携わる権能と責務を深く自覚し、公共の福祉の増進という地方自治の本旨を体現するとともに、住民全体の奉仕者として住民福祉の向上に努めなければなりません。
しかしながら、近年、地方議会において、威圧的言動、不当な叱責、侮辱、排除、業務妨害等のハラスメントが議会の自律的機能を損ない、議員間の信頼関係を破壊し、議会の権威と品位を著しく失墜させる事案が顕在化しています。このような行為は議会制民主主義の根幹を揺るがし、住民福祉の向上という議会本来の使命の遂行を阻害する重大な脅威であります。
八雲町議会は、決して見過ごすことなく、ハラスメントを明確に禁止するとともに、発生時には厳正かつ公正な手続きにより対処する体制を確立することを宣言します。
本条例は、議会の自律性、透明性及び説明責任を確保し、議員一人ひとりが規律を遵守し、品位と節度を持って議会活動に臨むための基本原則を定めるものです。
八雲町議会は、本条例の制定を通じて、議会の秩序と品格を保持し、町民からゆるぎない信頼を得る議会運営を実現することを強く誓います。
(目的)
第1条 この条例は、八雲町議会議員(以下「議員」という。)間及び議員と町職員(以下「職員」という。)間とのハラスメントを防止し、議会の健全性、透明性及び町民からの信頼を確保することを目的とする。
2 町民の負託を受けた議員としての倫理を明確化し、被害者の救済と再発防止を図る。
(定義)
第2条 この条例において「ハラスメント」とは、次に掲げる行為をいう。
(1) パワー・ハラスメント その地位、役職等の優位性を背景として行われる言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、相手方に対して精神的又は身体的な苦痛を与え、当該相手方の人格若しくは尊厳を害し、又は勤務環境(議員としての活動を行う上での環境を含む。以下同じ。)が害されるものをいう。
(2) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により、相手方に対して不快感を与える行為又はその者の勤務環境を害することとなる行為をいう。
(3) マタニティ・ハラスメント 妊娠、出産、不妊治療及びこれらに起因する症状により勤務(議員としての活動を含む。)をすることができないこと等に対する言動又は妊娠、出産、育児及び介護に関する制度若しくはその措置の利用に対する言動によりその者の勤務環境が害されることとなる行為をいう。
(4) その他のハラスメント 前3号に掲げるもののほか、誹謗、中傷、風評等により相手方の人権を侵害し、又は相手方を不快にさせる行為をいう。
(議長の責務)
第3条 議長は、ハラスメントの根絶及び防止に努めるとともに、議員によるハラスメントに関する相談又は申し出を受けたときは、迅速かつ適切に必要な措置を講じなければならない。
(議員の責務)
第4条 議員は、いかなる理由があっても、他の議員又は職員の人格を尊重し、ハラスメントをしてはならない。
2 議員は、ハラスメントを把握したときは、速やかに議長へ当該事態を報告しなければならない。
3 議員は、ハラスメントに関する相談、通報、調査への協力等をした者に対し、これを理由とした報復行為、不利益な取扱い、又は更なるハラスメントを行ってはならない。
(相談及び通報窓口の設置)
第5条 議長は、議会事務局に、ハラスメントに関する相談及び通報を受け付ける窓口(以下「相談等窓口」という。)を置かなければならない。
2 相談等窓口は、相談者及び通報者の秘密を保持しなければならない。
また、何人も、相談、通報、調査への協力等をした者に対し、これを理由とした報復行為、不利益な取扱い、又は二次被害を与えるような言動をしてはならない。
3 相談等は匿名によることができる。ただし、事実確認が困難な場合は調査の対象とならないことがある。
(調査及び組織体制)
第6条 議長は、議員又は職員からハラスメントに関する相談及び苦情の申し出があったときは、原則として30日以内に事実関係の調査を開始し、速やかに解決するよう努めなければならない。
2 議長は、その解決策を協議するため必要に応じて八雲町議会ハラスメント調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置することができる。
3 調査委員会は、ハラスメントに関する問題について誠実に解決を図らなければならない。
4 調査委員会は、迅速、公平かつ適正に行うものとし、関係者から十分な聴取をしなければならない。
5 調査に当たっては、相談及び苦情を申し出た者又は調査対象となっている者その他関係者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。
6 調査委員会の構成は、公平性及び中立性を確保するため、次に掲げる者をもって組織するものとする。
(1) 弁護士 1人
(2) 人権又は労務に関する知識を有する学識経験者 3人
(3) 町職員 3人
(4) 議員 3人
7 前項に規定する委員は、議会運営委員会で協議の上、議長が任命する。
8 議長は、ハラスメントがあったと認めたときは、議会運営委員会に報告し、再発防止及び必要な措置について協議するものとする。
9 前項の議会運営委員会において、相談及び苦情を申し出た者又は調査対象となっている者は、当該案件に係る協議に加わることができない。
10 何人も調査を妨げ又は虚偽の申述をしてはならない。
(措置及び公表等)
第7条 調査の結果、ハラスメントが認定された場合、議長は全員協議会に諮り、地方自治法その他関係法令の定めるところにより、議会の品位及び秩序の保持のため、次に掲げる措置について、出席議員の3分の2以上の同意を得て、議会として必要な対応を行うことができる。
(1) 文書による厳重注意を行うこと。
(2) 公開の場での謝罪勧告を行うこと。
(3) 一定期間の出席停止勧告を行うこと。
(4) 議会の役職の辞任勧告を行うこと。
(5) 議員の辞職を求める決議の提案を行うこと。
2 議長は、前項の規定により措置を講じたときは、ハラスメントの事実が確認された議員の氏名及びその要旨を八雲町議会広報誌及び八雲町議会ホームページに掲載し公表することができる。
3 議員は、ハラスメントによる被害を受けた者及びその関係者のプライバシーの保護に十分配慮し、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
4 議長は、第1項の措置を講じた後においても、被害を受けた者の活動環境又は勤務環境が損なわれることのないよう、二次被害の防止及び被害者の保護のために継続して必要な措置を講じなければならない。
(議長の職務代行)
第8条 議長が調査の対象になったときは副議長が、議長及び副議長が共に調査の対象になったときは、年長の議員がこの条例に規定する議長の責務を行う。
(再発防止等)
第9条 議長は、ハラスメントの防止を図るため、毎年1回、議員に対し必要な研修等を実施しなければならない。
(委任)
第10条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。