○かみふらの景観づくり条例
平成22年9月16日条例第10号
かみふらの景観づくり条例
かみふらの景観づくり条例(平成16年上富良野町条例第5号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 景観づくりの基本施策(第8条―第10条)
第3章 景観づくり計画の策定(第11条)
第4章 行為の届出等(第12条―第18条)
第5章 景観重要建造物等(第19条)
第6章 景観協定(第20条)
第7章 景観づくり推進会議(第21条・第22条)
第8章 支援及び表彰(第23条・第24条)
第9章 雑則(第25条)
附則
上富良野町の景観は、十勝岳連峰をはじめとする恵まれた自然と気候や風土に合った農業を中心とした生活の営みの中から生まれてきました。この景観は多くの人々に感動を与えるばかりではなく、私たち町民の命を育む、天与の宝物です。
一方でこの素晴らしい景観に抱かれながら、開拓の頃より先人たちのたゆまぬ努力によって街が形成され、その表情はこの町の文化や歴史、産業活動など町民の生活によって刻まれてきました。
私たちが生きる社会は常に変化していくものですが、私たちは上富良野町の景観が町民の大切な宝物であることを深く認識し、その享受に対する感謝の気持ちは不変のものとしてもちつづけなければなりません。そして次代を担う子どもたちが上富良野町を愛し誇りをもてるように、さらに快適で魅力ある町を創造していくことが、今の時代を生きる私たちに求められています。
ここに私たちは、景観法に基づく施策とともに、町民一人ひとりが景観づくりの担い手であることの自覚をもち、この素晴らしい景観を守り、育みながら、誰からも愛される町を創造していくことを宣言し、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、上富良野町の自然と町民の営みによって育まれた美しい景観の形成に関し、基本理念を定め、並びに町民、事業者及び町の責務を明らかにするとともに、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の施行に関して必要な事項を定めることにより、景観づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、魅力と誇りに満ちた上富良野町の創造を図るとともに、地域の活性化に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 景観 臨場することによって得られる視覚による映像をいう。
(2) 景観づくり 良好な景観を守り、育み、創造することをいう。
(3) 町民 上富良野町の居住者及び土地又は建築物等の所有者又は占有者をいう。
(4) 事業者 景観に関わる、又は景観に影響を及ぼす事業を行うすべての者をいう。
(5) 景観づくり計画 法第8条第1項に規定する景観計画をいう。
(6) 景観づくり計画区域 法第8条第2項第1号に規定する景観計画区域をいう。
(7) 景観づくり重点地区 景観づくり計画区域のうち、上富良野町の景観づくりに特に重要な地区として、町が指定する地区をいう。
(8) 景観づくり重点路線 景観づくり計画区域のうち、上富良野町の景観づくりに特に重要な通行道路として、町が指定する路線をいう。
(9) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1項に規定する建築物(以下「建築物」という。)及び建築物以外の工作物のうち、規則で定めるもの(以下「工作物」という。)をいう。
(基本理念)
第3条 景観づくりは、上富良野町の景観が町民の誇りとなるよう推進されなければならない。
2 景観づくりは、優れた自然、地域産業、文化や歴史を重んじ、次代に継承するよう推進されなければならない。
3 景観づくりは、町民、事業者及び町の責務を明確にし、協働により推進されなければならない。
(町民の責務)
第4条 町民は、景観づくりの担い手であることを認識し、自ら積極的な活動を行うとともに、町民相互に協力して景観づくりに寄与するよう努め、更に町が実施する景観づくりに関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、自らの事業活動が景観づくりに深い関わりをもつことを認識し、景観づくりに関する知識及び技術の向上並びに良好な景観の形成に自ら努め、更に町が実施する景観づくりに関する施策に協力しなければならない。
2 事業者は、景観づくりに関する町民の活動に協力するよう努めるものとする。
(町の責務と先導的役割)
第6条 町は、景観づくりを推進するため、総合的かつ計画的な施策の策定及び実施をしなければならない。
2 町は、前項に規定する施策の策定及び実施に当たっては、町民及び事業者の意見が十分に反映するよう努めなければならない。
3 町は、事業主体となる公共施設の整備その他の公共事業の実施に当たっては、景観づくりに先導的な役割を果たさなければならない。
4 町は、町民の景観に対する意識の向上と景観づくりに関する知識の普及を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
(国又は地方公共団体との連携と協力の要請)
第7条 町長は、景観づくりを効果的に推進する必要があると認める場合、国又は他の地方公共団体が町の景観に関わる事業を実施する場合において、国及び他の地方公共団体と連携を図り、必要に応じて協力を要請するものとする。
第2章 景観づくりの基本施策
(景観づくり基本計画の策定)
第8条 町は、景観づくりを総合的かつ計画的に推進するため景観づくり基本計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 町は、基本計画を策定するとき又は変更するときは、あらかじめ上富良野町景観づくり推進会議の意見を聴かなければならない。
3 町は、基本計画を策定したとき又は変更したときは、これを速やかに公表しなければならない。
(公共事業景観づくり指針の策定)
第9条 町は、町が先導的に景観づくりを推進するため、町が事業主体となる公共施設の整備その他の公共事業に係る指針(以下「公共事業景観づくり指針」という。)を策定しなければならない。
2 前条第2項及び第3項の規定は、公共事業景観づくり指針の策定及び変更について準用する。
(公共事業景観づくり指針の遵守)
第10条 町長は、公共事業景観づくり指針に基づき、町の公共事業を実施するものとする。
2 非常災害のために必要な応急措置として行う公共事業については、前項の規定は適用しない。
第3章 景観づくり計画の策定
(景観づくり計画)
第11条 町は、景観づくりを総合的かつ計画的に推進するため、基本計画及び公共事業景観づくり指針に基づき、景観づくり計画を定めるものとする。
2 町は、景観づくり計画において、景観づくり計画区域内で特に景観づくりを推進する必要があると認められる場合は、景観づくり重点地区又は景観づくり重点路線(以下「重点地区等」という。)を指定することができる。
3 町長は、重点地区等を指定しようとするときは、あらかじめ当該重点地区等内の町民の十分な意見の反映に努めなければならない。
4 町は、重点地区等を指定しようとするときは、法第8条第2項第2号に規定する良好な景観の形成に関する方針及び同項第3号に規定する行為の制限に関する事項を当該指定しようとする区域ごとに定めるものとする。
5 町長は、景観づくり計画を策定するとき又は変更するときは、あらかじめその素案について町民に公表し、その意見を反映させるほか、上富良野町景観づくり推進会議及び法第9条第2項の規定により都市計画審議会の意見を聴かなければならない。
6 町長は、景観づくり計画を定めたとき又は変更したときは、法第9条第6項に規定する手続きを経て、これを速やかに公表しなければならない。
7 町民は、重点地区等として指定を受けるべき地区又は路線があると認めたときは、重点地区等の指定について町長に申出ることができる。
8 町は、前項に規定する申出を受けた場合は、当該申出を景観づくり計画に反映させることの是非を含め、必要な措置を講ずるものとする。
第4章 行為の届出等
(届出等を要する行為)
2 法第16条第1項若しくは第2項による届出又は同条第5項の規定による通知(以下「行為の届出等」という。)は、規則で定めるところにより行わなければならない。
(行為の届出に係る添付図書)
第13条 景観法施行規則(平成16年国土交通省令第100号)第1条第2項第4号の条例で定める図書は、規則で定めるものとする。
(届出を要しない行為)
第14条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 届出を要する行為として規則で定める行為以外の行為
(2) 景観づくりに支障を及ぼすおそれがないと町長が認める行為
(特定届出対象行為)
第15条 法第17条第1項の特定届出対象行為は、法第16条第1項第1号及び第2号の届出を要する行為とする。
(周辺住民への周知)
第16条 町長は、特定届出対象行為による届出があった場合において、必要があると認めるときは、その届出を行った者に対し、当該届出に係る行為の内容を周辺住民(当該届出に係る行為の場所の周辺に居住する者及び滞在する者並びに当該届出に係る行為の場所の周辺の土地又は建築物等に関する権利を有する者で、当該届出に係る行為による影響が及ぶおそれがあると町長が認める者をいう。以下同じ。)に周知するよう要請することができる。
2 前項の規定による要請は、法第16条第1項又は第2項の規定による届出のあった日から10日以内にしなければならない。
3 第1項の規定による要請を受けた者は、当該届出に係る行為を行う前に、説明会その他の適切な方法により周辺住民への周知を行い、その理解を得るよう努めるものとする。
4 前項の規定による周知を行った者は、町長から前項に係る記録の提出を求められたときは、これに応じるものとする。
(廃屋等の管理の要請)
第17条 町長は、重点地区等内の廃屋、空き地又は遊休地等(以下「廃屋等」という。)が、当該地区又は路線の景観を阻害していると認めるときは、当該廃屋等の所有者又は占有者に対し、景観づくりに配慮した管理を行うよう要請することができる。
(勧告又は変更命令の手続)
第18条 町長は、法第16条第3項の規定による勧告をしようとするとき、法第17条第1項若しくは第5項の規定による命令をしようとするとき又は第17条による要請をしようとするときは、あらかじめ、上富良野町景観づくり推進会議の意見を聴かなければならない。
第5章 景観重要建造物等
(景観重要建造物等の指定手続)
第19条 町長は、法第19条第1項及び第2項の規定により景観重要建造物を指定しようとするとき又は法第28条第1項及び第2項の規定により景観重要樹木を指定しようとするときは、あらかじめ上富良野町景観づくり推進会議の意見を聴かなければならない。
2 町長は、前項の指定をしたときは、その旨を告示しなければならない。
3 前2項の規定は、指定の変更又は解除について準用する。
第6章 景観協定
(景観協定)
第20条 法第81条第4項の認可を受けようとする者は、規則で定めるところにより、町長に申請しなければならない。この場合において、併せて規則で定める図書を提出しなければならない。
2 前項の規定は、法第84条第1項又は第88条第1項の認可について準用する。
第7章 景観づくり推進会議
(景観づくり推進会議の設置)
第21条 景観づくりを適切に推進するため、上富良野町景観づくり推進会議(以下「景観推進会議」という。)を置く。
2 景観推進会議は、この条例の規定に定められた事項及び町長の諮問に応じ景観づくりに関する事項を調査し、審議するものとする。
3 景観推進会議は、景観づくりに関し必要と認める事項を町長に意見を述べることができる。
(組織等)
第22条 景観推進会議は、委員10人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから、町長が任命する。
(1) 学識経験者
(2) 町長が適当と認める者
3 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 前3項に定めるもののほか、景観推進会議の運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第8章 支援及び表彰
(支援)
第23条 町長は、景観づくりの推進に有効かつ必要があると認めたときは、町民又は事業者が行う次に掲げる事業又は活動に対して、景観推進会議の意見を聴いたうえで、技術的な支援又は予算の範囲内において必要な経費を一部助成することができる。
(1) 重点地区等内における景観づくりに係る事業又は活動
(2) その他景観づくりを推進するにあたって、町長が特に必要と認めた事業又は活動
(表彰)
第24条 町長は、景観づくりに著しく寄与したと認められる行為を行った者を上富良野町表彰条例(昭和58年上富良野町条例第9号)に基づく規定により表彰することができる。
第9章 雑則
(規則への委任)
第25条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成23年4月1日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。
(景観づくり計画の事前策定)
2 景観づくり計画の策定及びこれに関し必要な手続その他の行為は、この条例の施行前においても、改正後のかみふらの景観づくり条例(以下「新条例」という。)第11条の規定の例により行うことができる。この場合においては、景観づくり計画の効力を生ずる日をこの条例の施行の日以後としなければならない。
(経過措置)
3 この条例の施行に際して、現に改正前のかみふらの景観づくり条例(以下「旧条例」という。)第7条第1項の規定により策定されている景観づくり基本計画及び第8条第1項の規定により策定されている指針は、新条例第8条第1項の規定により策定された景観づくり基本計画及び第9条第1項の規定により策定されている指針とみなす。
4 この条例の施行に際して、現に旧条例第12条第7項の規定による町民からの指定についての申し出があるときは、新条例第11条第7項に規定する申し出とみなす。
5 この条例の施行に際して、現に旧条例第18条第1項の規定により設置している上富良野町景観づくり推進会議は、新条例第21条第1項に規定する上富良野町景観づくり推進会議とみなす。
別表

区域

行為の内容

景観づくり計画において定める。

(1) 土地の開墾、土砂の採掘、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更(都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第12項に規定する開発行為を除く。)

(2) 屋外における土石、廃棄物、再生資源その他の物件の堆積(期間が60日未満のもの及び雪の堆積を除く。)

(3) 電気供給のための電線路又は有線電気通信のための線路若しくは空中線系(その支持物を含む。)