○江差町再生可能エネルギー事業の推進と地域との共生に関する条例
令和6年6月20日
条例第19号
前文
江差町では、地域再エネ導入マスタープランにおいて、省エネルギー対策の推進と森林整備をはじめとした二酸化炭素吸収源の確保、本町の地域資源である再生可能エネルギーの活用を促進しながら、ゼロカーボンシティの実現を目指すこととしています。
本町が持つ豊かな自然・社会環境と歴史的景観等と調和しながら、地球温暖化対策に向けて、地域の資源である再生可能エネルギーの導入を町、町民及び地域事業者が一体となつて推進するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、江差町(以下「町」という。)における再生可能エネルギー(以下「再エネ」という。)発電事業の導入に関し、町民の民意のもと、自然・社会環境や景観への負荷を最小限に抑えつつ、再エネ発電事業の区域を適切に設定(以下「ゾーニング」という。)することで、エネルギー供給地としての地位を確立し、無秩序な開発の抑制を図り、以つて町内の再エネ産業を育成し、持続可能な脱炭素化社会の実現に向けたまちづくりに寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 再エネは、町が目指すゼロカーボンの実現に必要不可欠な地域の持続可能なエネルギー資源であり、町、町民及び地域事業者は再エネを適切かつ最大限に利用するよう努めなければならない。
2 再エネ発電事業は、町、発電事業者、町民及び地域事業者の相互の密接な連携の下に、地域の活力の向上及び持続的発展に資することを目的として行わなければならない。
3 再エネ発電事業は、自然・社会環境及び景観に配慮しつつ、防災・減災、産業振興、地域活性化等の視点も取り入れた上で、適正に行わなければならない。
(1) 再生可能エネルギー発電設備(以下「再エネ設備」という。) 再エネを用い、電気に変換する設備並びにその附属設備をいう。
(2) 再生可能エネルギー発電事業(以下「再エネ事業」という。) 再エネ設備を利用し発電を行う事業をいう。
(3) 発電事業者 町内で再エネ事業を実施し、これを用いて電気を需要家に供給しようとする者又は自ら消費しようとする者をいう。
(4) 事業区域 再エネ事業の用に供する土地の区域(再エネ設備及び管理用道路などを含む)をいう。
(5) ゾーニングマップ ゾーニングについて関係者・関係機関で協議しながら令和6年2月に策定された江差町再生可能エネルギーに係るゾーニング報告書(以下「ゾーニング報告書」という。)に示された、各ゾーニングエリアを地図に落とし込んだ地図情報をいう。
(6) 環境配慮事項 ゾーニング報告書に示された、発電事業者が事業計画を検討する際に必要な留意・配慮すべき事項を整理したものをいう。
(7) 保全エリア 法令等の指定から立地困難、又は重大な環境影響が懸念されることにより、再エネ設備の立地は望ましくなく、環境保全を優先すべきエリアをいう。
(8) 不適エリア 事業性等の観点から、再エネ設備の立地には適さないエリア。ただし、事業者の詳細調査などにより事業性があると判断され、自然・社会環境へ配慮すべき事項について地域関係者や関係機関との調整が調つた場合、再エネ設備の導入を促進しうるエリアをいう。
(9) 調整エリア 風況、地形等により事業性があり、再エネ設備の設置にあたつては、自然・社会環境へ配慮すべき事項が含まれ地域関係者や関係機関との調整が調つた場合、再エネ設備の導入を促進しうるエリアをいう。
(10) 促進エリア 風況、地形等により事業性があり、自然・社会環境への影響が小さいと想定され、再エネ設備の導入を促進しうるエリアをいう。
(適用事業)
第4条 この条例は、次の再エネ事業について適用する。
(1) 出力規模が10kw以上の野立て型太陽光発電
(2) 風力発電
(町の責務)
第5条 町は、再エネを活用した持続可能な脱炭素化社会の実現に向けたまちづくりに寄与するため、地域の合意形成を図りつつ、自然・社会環境や景観に適正に配慮し、地域に貢献する、地域共生型の再エネを推進するため、この条例の適正かつ円滑な運用が図られるよう必要な措置を講じるものとする。
(発電事業者の責務)
第6条 発電事業者は、再エネ事業の実施にあたつては、関係法令並びにこの条例、規則、ゾーニングマップ及び環境配慮事項等を遵守し、事故や争いの発生防止並びに良好な自然・社会環境及び景観の保全に配慮するとともに、町民等との良好な関係を保つよう努めなければならない。
2 発電事業者は、再エネ設備の適正な設置及び維持管理に努めなければならない。
3 発電事業者は、計画的に資金を積み立てることその他の方法により、再エネ設備を適正に維持管理するほか、除却又は設備更新など再エネ事業を継続するために必要な費用を確保するよう努めなければならない。
4 発電事業者は、再エネ事業の実施に伴い、想定されていた以上の環境への影響や事故等が発生した場合、又は町民等との間に争いが生じた場合は、自己の責任において、誠意をもつて解決に努めなければならない。
(町民の責務)
第7条 町民は、再エネ事業の実施と町の良好な自然・社会環境及び景観との調和について理解を深め、町の施策及びこの条例に定める手続の実施に協力するよう努めるものとする。
(発電事業者による提案)
第8条 発電事業者は、町に対して、再エネ事業の活用による地域の活性化に資する取組みに関して提案することができるものとする。
(保全エリア)
第9条 発電事業者は、ゾーニング報告書において保全エリアに指定されている区域を事業区域に含めてはならない。
(不適エリア)
第10条 発電事業者は、ゾーニング報告書において不適エリアに指定されている区域を事業区域に含める場合は、詳細調査などを実施し、事業性があると判断したときは、環境配慮事項を適切に講じなければならない。
(調整エリア)
第11条 発電事業者は、ゾーニング報告書において調整エリアに指定されている区域を事業区域に含める場合は、環境配慮事項を適切に講じなければならない。
(促進エリア)
第12条 発電事業者は、ゾーニング報告書において促進エリアに指定されている区域を事業区域に含める場合は、環境配慮事項を適切に講じなければならない。
(町民等への説明及び協定の締結)
第13条 発電事業者は、再エネ事業を実施しようとするときは、町民等に対して再エネ設備の新設等に関する事業計画についての説明会を開催するなど、当該事業計画の周知に努めなければならない。
2 発電事業者は、前項の措置を講じた結果、町民等から意見の申し出があつた場合は、誠実に協議するよう努めなければならない。
3 発電事業者は、新設等を行う再エネ設備(附属設備を除く。)の設置により影響を受ける可能性がある町内会、自治会及び事業所又は団体から紛争の解決に関する協定の締結について協議があつた場合は、誠意をもつてこれに対応し、当該協定が成立したときは、誠実にこれを遵守しなければならない。
(再エネ事業実施の届出)
第14条 発電事業者は、再エネ事業を実施しようとするときは、再エネ事業に係る法令の規定に基づく許認可等の申請又は届出をする前に、次に掲げる事項を町長に届け出なければならない。ただし、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(平成30年法律第89号)によるものについては適用しない。
(1) 発電事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあつては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 再エネ事業を行う目的、位置及び工程等の事業計画を明らかにした書類
(3) 再エネ設備の維持管理費用及び除却費用の積立計画等がわかる書類
(4) 町民等への説明会の状況を記録した報告書
(5) 前各号に掲げるもののほか、町長が必要と認める書類
2 町長は、前項の規定による届出があつたときは、再エネ事業に対して意見を述べることができる。
3 発電事業者は、第1項の規定により届け出た事項に変更が生じたときは、遅滞なく、その旨を町長に届け出なければならない。
(工事着手等に係る届出)
第15条 発電事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、遅滞なく、その旨を町長に届け出なければならない。
(1) 再エネ事業を実施するための工事(以下「工事」という。)に着手するとき。
(2) 工事を中止するとき。
(3) 中止していた工事を再開するとき。
(4) 工事が完了したとき。
(報告及び立入検査)
第16条 町長は、発電事業者に対し必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は職員に事業区域に立ち入らせ、当該再エネ事業に関する事項について調査若しくは関係者に質問することができる。
(再エネ事業の継承)
第17条 発電事業者から相続、売買、合併又は分割等によりその地位を継承した者は、その承継の日から30日以内に、その旨を町長に届け出なければならない。
(維持管理等に関する報告)
第18条 発電事業者は、再エネ設備の稼働状況及び保守点検の実施状況について、1年に1回町長に報告しなければならない。
2 発電事業者は、自然災害又は火災等により、事業区域及びその周辺区域において被害が発生し、又は発生するおそれがあると認められるときは、直ちに必要な対策を講ずるとともに、町長に報告しなければならない。ただし、当該自然災害又は火災等が継続している場合は、この限りではない。
3 前項に規定する場合のほか、自然・社会環境に影響を及ぼすおそれがあると認められるときは、町長は、再エネ設備の稼働状況及び保守点検の実施状況について、発電事業者に報告を求めることができる。
(再エネ事業終了後の除却等)
第19条 発電事業者は、再エネ事業を終了したときは、速やかに、再エネ設備を除却するとともに、その旨を町長に届け出なければならない。
(指導、助言及び勧告)
第20条 町長は、必要があると認めるときは、発電事業者に対し、再エネ事業の適切な実施について必要な措置を講ずるよう指導又は助言することができる。
2 町長は、次の各号のいずれかに該当するときは、発電事業者に対し、期限を定めて、必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(3) 第15条第1号の規定による届出をせずに工事に着手したとき。
(4) 第16条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
(6) 前条の規定による除却をせず、又は届出をしなかつたとき。
(7) 前項の規定による指導又は助言に従わなかつたとき。
(命令)
第21条 町長は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなく、その勧告に係る措置を取らなかつた場合において、その者に対し、相当の猶予期間を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
(公表)
第22条 町長は、前条に規定する命令を受けた者がその命令に違反したと認めるときは、その者の氏名又は名称及び住所又は所在地並びに命令の内容を公表することができる。
2 町長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、公表の対象となる者の意見を聴く機会を設ける等必要な措置を講じなければならない。
(罰則)
第23条 町長は、正当な理由がなく第21条の規定による命令に従わない者は、5万円以下の過料に処する。
(協議会の設置)
第24条 再エネ事業の実施と町の良好な自然・社会環境及び景観との調和に関する事項を協議するため、江差町再生可能エネルギー検討協議会(以下「協議会」という。)を置く。
2 協議会は、脱炭素社会の実現に向けた再エネ事業の状況確認と実施計画について、発電事業者から町民等との協議内容について報告を受けるものとする。
3 協議会に必要な事項は、町長が別に定めるものとする。
(委任)
第25条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
3 この条例の施行の際、現に工事に着手している発電事業者については、第15条第1号の規定は、適用しない。
(検討)
4 町長は、この条例の施行の状況及び再エネに関する知見の進展の動向等を勘案し、この条例の規定及びゾーニング報告書について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の措置を講ずるものとする。
附則(令和6年条例第23号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和7年条例第13号)
この条例は、令和7年4月1日から施行する。