○浦河町情報公開条例
平成13年3月21日
条例第7号
町が保有する情報は、私たちの共有の財産であり、これを広く公開することは、民主主義や住民自治の伸展など、開かれた町政を推進していくために不可欠であると考えます。
近年、一人ひとりの価値観が多様化し、社会経済情勢とともに町政を取り巻く環境が大きく変化する中にあつて、よりよい地域づくりのため情報を積極的に提供するなど情報公開制度の一層の整備、充実が求められています。
情報公開制度は、すべての人が知りたいとき自由に知り得るよう知る権利を保障するとともに、町政の諸活動について説明する責任を全うすることにより、まちづくりへの町民参加を促進するなど、すべての人に開かれた公正でわかりやすいものでなければなりません。
この様な考えに立つて、まちづくりに対する理解と信頼を深め公正で民主的な町政を確立するため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、公文書の開示を請求する権利を明らかにするとともに、公文書の開示及び情報提供の推進に関し必要な事項を定めることにより、開かれた町政を一層推進し、もつて地方自治の本旨に即した町政の発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「実施機関」とは、町長、議会、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。
2 この条例において「公文書」とは、実施機関が作成し、又は取得した文書、図画及び写真(これらを撮影したマイクロフィルムを含む。)並びに電子計算機による処理に使用される磁気テープ、磁気ディスクその他一定の事項を記録しておくことのできるこれらに類する物であつて、実施機関が管理しているものをいう。
(この条例の解釈及び運用)
第3条 実施機関は、この条例の解釈及び運用に当たつては、公文書の開示を請求する権利を十分尊重するものとする。この場合において、実施機関は、個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない。
2 実施機関は、公文書の開示その他の事務を迅速に処理する等この条例に定める情報公開制度の利用者の利便に配慮しなければならない。
(公文書の管理等)
第4条 実施機関は、この条例の適正かつ円滑な運用を図るよう、公文書を適切に管理しなければならない。
(制度の改善)
第7条 町長は、広く町民の意見を聴いて、この条例に定める情報公開制度を円滑に運用するよう努めるとともに、必要に応じその改善に取り組むよう努めるものとする。
(制度の実施状況の公表)
第8条 町長は、毎年、各実施機関のこの条例に定める情報公開制度の実施状況を取りまとめ、これを公表するものとする。
第2章 公文書の開示の制度
第1節 公文書の開示を請求する権利等
(公文書の開示を請求する権利)
第9条 何人も、実施機関に対して、公文書の開示を請求することができる。
(実施機関の開示義務)
第10条 実施機関は、公文書の開示の請求(以下「開示請求」という。)があつたときは、開示請求に係る公文書に、次の各号に掲げる情報(以下「非開示情報」という。)のいずれかが記載されている場合を除き、当該公文書に係る公文書の開示をしなければならない。
(1) 個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、学歴、職歴、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であつて、特定の個人が識別され得るもののうち、通常他人に知られたくないと認められるもの
(2) 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報及び事業を営む個人の当該事業に関する情報であつて、開示することにより、当該法人等及び当該事業を営む個人の競争上若しくは事業運営上の地位又は社会的な地位が不当に損なわれると認められるもの
(3) 開示することにより、人の生命、身体、財産又は社会的な地位の保護、犯罪の予防、犯罪の捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障が生ずるおそれのある情報
(4) 町又は国若しくは地方公共団体その他の公共団体(以下「国等」という。)の事務又は事業に係る意思形成過程において、町の機関内部若しくは町の機関相互間又は町の機関と国等の機関との間における審議、協議、調査研究等に関し、実施機関が作成し、又は取得した情報であつて、開示することにより、当該事務又は事業に係る意思形成に著しい支障が生ずると明らかに認められるもの
(5) 町と国等との間における協議により、又は国等からの依頼により、実施機関が作成し、又は取得した情報であつて、開示することが当該協議又は依頼の条件又は趣旨に反し、国等との協力関係が著しく損なわれることにより、当該協議又は依頼に係る事務又は事業の適正な執行に支障が生ずると認められるもの
(6) 試験の問題及び採点基準、検査、取締り等の計画及び実施要領、争訟の方針、入札予定価格、用地買収計画その他の町又は国等の事務又は事業に関する情報であつて、開示することにより、当該事務若しくは事業の目的を失わせ、又は当該事務若しくは事業若しくは将来の同種の事務若しくは事業の公正若しくは円滑な実施を著しく困難にすると認められるもの
(7) 法令又は他の条例(以下「法令等」という。)の規定により明らかに開示することができないとされている情報
2 実施機関は、開示請求に係る公文書に、非開示情報とそれ以外の情報が記録されている場合において、非開示情報とそれ以外の情報とを容易、かつ開示請求の趣旨が損なわれない程度に分離することができるときは、前項の規定にかかわらず、当該非開示情報が記録されている部分を除いて、当該公文書に係る公文書の開示をしなければならない。
(公益上の必要による開示)
第11条 実施機関は、開示請求に係る公文書に非開示情報が記録されている場合であつても、当該情報を開示することが人の生命、身体、健康又は生活の保護のため公益上必要があると認めるときは、当該公文書に係る公文書の開示をするものとする。
(公文書の存在の有無に関する情報の取扱い)
第12条 実施機関は、開示請求に係る公文書が存在しているかどうかを答えるだけで、特定の個人の生命、身体又は名誉が侵害されると認められる場合に限り、当該公文書の存在の有無を明らかにしないことができる。
第2節 公文書の開示の請求の手続き等
(公文書の開示の請求の手続)
第13条 開示請求をしようとする者は、実施機関に対して、次の事項を記載した請求書を提出しなければならない。
(1) 氏名及び住所(法人その他の団体にあつては、名称、事務所又は事業所の所在地及び代表者の氏名)
(2) 開示請求をしようとする公文書の名称その他の当該公文書を特定するために必要な事項
(4) 前3号に定めるもののほか、実施機関が定める事項
(公文書の開示の決定)
第14条 実施機関は、開示請求があつたときは、その翌日から起算して14日以内に、公文書の開示をするかどうかの決定(以下「開示等の決定」という。)をしなければならない。ただし、やむを得ない理由により、その翌日から起算して14日以内に開示等の決定をすることができないときは、その期間を14日を限度として延長することができる。
(公文書の開示等の決定の通知)
第15条 実施機関は、開示等の決定をしたときは、速やかに開示請求者に書面により通知しなければならない。この場合において、実施機関は、公文書の開示をしないことと決定したときはその理由を、第10条第2項の規定により非開示情報が記録されている部分を除いて公文書の開示をすることと決定したときはその旨及び理由を記載して開示請求者に通知しなければならない。
2 実施機関は、開示請求に係る公文書について公文書の開示をしないことと決定した場合において、当該公文書の全部又は一部について公文書の開示をすることができる期日が明らかであるときは、その期日を前項の書面に付記するものとする。
(公文書の存在の有無を明らかにしない決定)
第16条 実施機関は、第12条の規定により公文書の存在の有無を明らかにしないときは、開示請求があつた日の翌日から起算して14日以内に、その旨の決定をしなければならない。
(公文書の不存在の通知)
第17条 実施機関は、開示請求に係る公文書が存在しないときは、開示請求があつた日の翌日から起算して14日以内に、当該公文書が不存在である旨の通知をするものとする。
(第三者に関する情報に係る意見の聴取等)
第18条 実施機関は、開示等の決定をするに際して、開示請求に係る公文書に町以外の者(以下「第三者」という。)に関する情報が記録されている場合であつて、必要があると認めるときは、開示等の決定に先立ち、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る情報等を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2 実施機関は、第三者に関する情報が記録されている情報を第11条の規定により開示しようとするときは、開示等の決定に先立ち、開示請求に係る情報等を当該第三者に通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
3 実施機関は、前2項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が、当該情報の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも14日をおかなければならない。この場合において、実施機関は、開示決定後直ちに、当該意見書を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を当該決定に対し不服申立てができる旨と併せて通知しなければならない。
(公文書の開示の実施)
第19条 公文書の開示は、実施機関が第15条第1項の規定による通知の際に指定する日時及び場所で行うものとする。
2 実施機関は、公文書の開示をすることと決定された公文書(以下「開示公文書」という。)を開示することにより当該開示公文書を汚損し、又は破損するおそれがある等当該開示公文書の保存に支障があると認められるときその他合理的な理由があるときは、当該開示公文書の写しにより公文書の開示をすることができる。
(手数料等)
第20条 この節の規定による公文書の公開に係る手数料は、無料とする。
2 請求者が、公文書の写しの交付又は送付を求めたときにおける当該公文書の写しの作成及び送付に要する費用は、請求者の負担とする。
第3節 不服申立てに関する手続
(1) 不服申立てが明らかに不適法であり、却下するとき。
2 前項の規定により諮問をした実施機関は、不服申立人、参加人、開示請求者(開示請求者が不服申立人又は参加人である場合を除く。)及び当該不服申立てに係る開示等の決定について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が不服申立人又は参加人である場合を除く。)に対し、諮問をした旨を通知しなければならない。
3 審査会は、第1項の規定により諮問を受けたときは、これを審査し、諮問を受けた日から60日以内に、答申するよう努めなければならない。
(1) 開示決定に対する第三者からの不服申立てを却下し、又は棄却する決定
(2) 不服申立てに係る開示等の決定を変更し、当該開示等の決定に係る公文書を開示する旨の決定(第三者である参加人が当該公文書の公開に反対の意思を表示している場合に限る。)
第4節 他の制度との調整
(法令等の規定による公文書)
第23条 法令等の規定により、実施機関に対して公文書の閲覧若しくは縦覧又は公文書の謄本、抄本その他写しの交付を求めることができる場合における当該公文書の閲覧又はその写しの交付については、当該法令等の定めるところによる。
第3章 情報提供の総合的推進
第1節 情報提供の総合的推進
(情報提供の総合的推進)
第24条 実施機関は、その保有する情報を積極的に町民の利用に供するため、情報提供の総合的推進に努めるものとする。
(情報提供施策の充実)
第25条 実施機関は、町民が町政に関する情報(政策形成過程にあるものを含む。)を迅速かつ容易に得られるよう、広報及び広聴の活動の充実、刊行物その他の資料の積極的な提供、高度な情報通信技術を活用した多様な媒体による情報提供の推進等により情報提供施策の充実に努めるものとする。
第2節 会議の公開
第26条 実施機関に置く附属機関及びこれに類するものは、その会議を公開するものとする。ただし、当該会議の審議の内容が許可、認可等の審査、行政不服審査、紛争処理、試験に関する事務等に係るものであつて、会議を公開することが適当でないと認められるときは、この限りでない。
第3節 出資法人等の情報公開
第27条 町が出資その他の財政上の援助を行う法人等であるもののうち、当該出資法人等の資本金又は基本財産に占める町の出えん金又は出資金の割合が、2分の1以上のもの及び前年度において町の補助金、負担金及び交付金の総額が歳出規模(法人等の年間の総支出額をいう。ただし、特別会計等複数の会計を有する場合で、各会計相互間の繰出し又は繰入れのある場合は、その控除を行う。)の2分の1以上のもの(以下「出資法人等」という。)は、経営状況を説明する文書等その保有する文書の公開に努めるものとする。
2 実施機関は、出資法人等が保有する文書であつて、実施機関が管理していないものについて、その閲覧又はその写しの交付の申出があつたときは、出資法人等に対して当該文書を実施機関に提出するよう求めるものとする。
3 前項の規定により実施機関が出資法人等に提出を求める文書の範囲、文書の閲覧又はその写しの交付の手続、その他必要な事項は、実施機関が定める。
第4章 浦河町情報公開審査会
(設置)
第28条 第21条第1項の規定による諮問に応じ、不服申立てについて調査、審議するため、浦河町情報公開審査会を置く。
(所掌事項)
第29条 審査会は、この条例の規定によりその権限の属する事項を処理するほか、情報公開に関し、町長に意見を述べることができる。
(組織)
第30条 審査会は、委員5人で組織する。
2 委員は、学識経験を有する者のうちから、町長が任命する。
3 委員の任期は、3年とし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
4 審査会の庶務は、総務課において行う。
(会長及び副会長)
第31条 審査会に会長及び副会長を置く。
2 会長及び副会長は、委員が互選する。
3 会長は、審査会を代表し、会務を総理する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
(会議)
第32条 審査会の会議は、会長が招集する。
2 審査会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
4 審査会は、第21条第1項の規定による諮問に事案等を審議する会議であつて、これを公開することが適当でないと認められるものを除き、その会議を公開するものとする。
(審査会の調査の権限)
第33条 審査会は、必要があると認めるときは、実施機関に対し、開示請求に係る公文書の提示を求めることができる。この場合においては、何人も、審査会に対し、その提示された公文書の開示を求めることができない。
2 実施機関は、審査会から前項の規定による求めがあつたときは、これを拒むことはできない。
3 審査会は、必要があると認めるときは、実施機関に対し、開示請求に係る公文書の内容を審査会の指定する方式により分類又は整理した資料を作成し、審査会に提出するよう求めることができる。
4 審査会は、第21条第1項の規定による諮問に係る事案の審議を行うため必要があると認めるときは、不服申立人、参加人、実施機関の職員その他関係者から意見又は説明を聴き、若しくは必要な調査をすることができる。
(意見の陳述)
第34条 審査会は、不服申立人、参加人、実施機関の職員(以下「不服申立人等」という。)から申立があつたときは、当該不服申立人等に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、審査会が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
2 前項本文の場合において、不服申立人又は参加人は、審査会の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
(意見書等の提出)
第35条 不服申立人等は、審査会に対し、意見書又は資料を提出することができる。ただし、審査会が意見書又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
(提出資料の閲覧)
第36条 不服申立人等は、審査会に対し、審査会に提出された意見書又は資料の閲覧を求めることができる。この場合において、審査会は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
2 審査会は、前項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。
(秘密の保持)
第37条 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(会長への委任)
第38条 この章に定めるもののほか、審査会の運営に関し必要な事項は、会長が審査会に諮つて定める。
第5章 雑則
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成13年4月1日から施行する。