○蘭越町こぶし咲くふるさと景観条例

平成17年3月11日

条例第6号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 基本的施策の推進

第1節 通則(第9条―第12条)

第2節 廃棄物の適正管理(第13条・第14条)

第3節 土地などの適正管理(第15条―第20条)

第4節 花いつぱいの推進等(第21条・第22条)

第5節 生活環境の保全(第23条―第26条)

第6節 屋外広告物の適正管理(第27条・第28条)

第7節 ふるさと景観眺望点(第29条)

第3章 開発事業の適正化(第30条―第37条)

第4章 景観づくり協定(第38条―第40条)

第5章 助成(第41条)

第6章 雑則(第42条・第43条)

附則

前文

景観は、自然が創り出すものとともに、そこに暮らす人々の生活や様々な営みから生まれ、地域の産業や文化、歴史が長い時間を経て積み重なり、それらの総体として見える風景であり、まちの表情そのものです。

私たちのまち蘭越町は、雄大なニセコ連峰や多くの恵みをもたらす母なる清流尻別川をはじめ、四季折々に表情を変える豊かな自然に恵まれ、それらが美しい景観を創り、私たちの生活に落ち着きと潤い、そして豊かさを与えてくれます。

私たちは、この景観を町民の貴重な財産として、これを守り、育て、さらに創造するとともに、将来の世代がその恵沢を享受できるよう大切に引き継ぐ使命があります。

私たち町民は、こぶし咲くふるさと蘭越への誇りと愛着を持ち、まなざしを高く清らかに、自然との共生を図りながら、地域の風土に調和した良好な景観のもとに潤いのある暮らしができるよう、この条例を定めます。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、良好な景観づくりに関し、町、町民等、事業者及び土地所有者等の果たすべき役割を明らかにするとともに、計画の策定その他の施策を総合的に講ずることにより、美しく風格のある景観の形成及び潤いのある豊かな生活環境の創造を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ各号に定めるところによる。

(1) 景観 人々の生活や様々な営みと自然など周囲の環境とが重なり合つて形を成す表情をいう。

(2) 景観づくり 良好な景観を守り、つくり、育てることをいう。

(3) 町民等 蘭越町内(以下「町内」という。)に居住し、又は滞在し、若しくは町内を通過する者をいう。

(4) 事業者 町内で事業活動を営む者をいう。

(5) 土地所有者等 町内に土地を所有し、又はこれを占有し、若しくは管理する者をいう。

(6) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物(以下「建築物」という。)及び建築物以外の工作物で規則で定めるものをいう。

(7) 広告物等 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物及びこれを掲出する物件で建築物等以外のものをいう。

(8) 管理不良状態 人が使用しないこと又は景観づくりに配慮した適切な管理を行つていないことにより、景観づくりに支障を来たすおそれがあると認められる建物等及び土地の状態で、規則で定めるものをいう。

(9) 関係住民等 開発事業により景観上の影響が懸念される町民等で規則で定める者をいう。

(10) 廃棄物 ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

(基本理念)

第3条 町の景観づくりは、豊かでかけがえのない自然と生活環境の調和を基本とし、自然との共生を図りながら、地域の風土に調和した良好な景観のもとに潤いのある暮らしができるよう推進されなければならない。

2 町の景観づくりは、町民等、事業者、土地所有者等及び町との協働により推進されなければならない。

(適用区域)

第4条 この条例は、蘭越町の全域について適用するものとする。

(町の役割)

第5条 町は、この条例の目的を達成するために、自ら景観づくりに努めるとともに、景観づくりを推進するための総合的な指針及び施策を策定し、これを実施するものとする。

2 町は、前項の指針及び施策を策定するに当たつては、蘭越町環境審議会(以下「環境審議会」という。)の意見を聴き、かつ、町民の意見が十分反映されるよう努めるものとする。

(町民等の役割)

第6条 町民等は、景観づくりに関し、意識を高め、自ら美しい景観形成に寄与するよう努めるとともに、町の実施する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の役割)

第7条 事業者は、その事業活動において、景観づくりが図られるよう自らの責任と負担において必要な措置を講ずるとともに、町の実施する施策に協力するよう努めなければならない。

(土地所有者等の役割)

第8条 土地所有者等は、景観づくりに寄与するよう土地を適正に管理するとともに、町の実施する施策に協力するよう努めなければならない。

第2章 基本的施策の推進

第1節 通則

(国等への要請)

第9条 町長は、景観づくりのため必要があると認めるときは、国及び北海道その他の公共団体に対して、協力を要請するとともに、景観づくりに関し連携して取組みが図られるよう努めるものとする。

(先導的役割)

第10条 町は、公共施設等の整備及び事業の実施に当たつては、景観形成に十分配慮し、先導的な役割を果たすよう努めるものとする。

(関連施策の推進)

第11条 町は、農業、観光及び教育の振興その他町の実施する施策において、景観づくりに寄与する施策を推進するよう努めるものとする。

(規制措置)

第12条 町長は、景観づくりに支障を及ぼすおそれがある行為に関し、条例の定めるところにより、必要な規制措置を講ずることができるものとする。

第2節 廃棄物の適正管理

(廃棄物投棄の禁止)

第13条 何人も、良好な景観を阻害しないよう、みだりに廃棄物を捨ててはならない。

2 町長は、前項の廃棄物のうち一般廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)第2条第2項に規定する一般廃棄物をいう。)の投棄を行つた者(以下「投棄者」という。)に対し、当該廃棄物の投棄されている土地が管理不良状態により良好な景観を阻害していると認められる場合は、期限を定めて、廃棄物の除去その他必要な措置を講ずべきことを指導し、若しくは勧告し、又は命ずることができる。

(廃棄物除去の代執行)

第14条 町長は、前条第2項に該当する場合において、廃棄物の除去について町民等から要請があり、かつ、次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところにより、自ら当該廃棄物の一部又は全部を除去し、又は第3者にこれを行わせることができる。

(1) 前条第2項の規定により廃棄物の除去等の措置を講ずべきことを命ぜられた者が、当該命令による期限までに措置を講じないとき、講じても十分でないとき、又は講ずる見込みがないとき。

(2) 前条第2項の規定により廃棄物の除去等の措置を講ずべきことを命じようとする場合において、過失がなく当該廃棄物の除去等の措置を命ずべき者を確知することができないとき。

2 町長は、前項の代執行を行うときは、環境審議会の意見を聴かなければならない。

3 町長は、第1項の規定により廃棄物の除去等の措置を講じたとき、又は第3者にこれを行わせたときは、当該措置に要した経費について、当該投棄者に負担させることができる。

第3節 土地などの適正管理

(土地の適正管理義務)

第15条 土地の所有者等は、当該土地が管理不良状態により良好な景観を阻害しないよう、常に適正な維持管理に努めなければならない。

2 土地の所有者等は、当該土地が管理不良状態にあるときは、自らの責任において、草木の除去、塀の設置、緑地の造成その他必要な措置を講じて、景観づくりに努めなければならない。

(指導)

第16条 町長は、土地の所有者等に対し、当該土地が管理不良状態により良好な景観が阻害されていると認められるときは、前条に規定する土地の管理について指導することができる。

(勧告)

第17条 町長は、前条の規定による指導に応じない者に対し、必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(命令)

第18条 町長は、前条の規定により勧告を受けた者が正当な理由なくして勧告に従わないときは、期限を定めて、その勧告に従うべきことを命ずることができる。

(草木、廃屋等の除去の斡旋)

第19条 町長は、土地の所有者等が繁茂した草木、廃屋、資材、土砂、瓦礫、廃材、機能の一部を失つた自動車等を自ら除去することができないときであつて、良好な景観を形成するために必要な場合に限り、当該所有者等の申出により、その除去をする者を斡旋することができる。この場合において、当該除去費用は、当該所有者等の負担とする。

(草木、廃屋等の除去の代執行)

第20条 町長は、第18条の命令を受けた者がこれを履行しない場合において、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、かつ、その履行を町民等から要請されたときは、行政代執行法の定めるところにより、自ら当該土地に繁茂した草木、廃屋、資材、土砂、瓦礫、廃材、機能の一部を失つた自動車等を除去し、又は第三者にこれを行わせることができる。この場合において、当該除去費用は、当該土地の所有者等に負担させることができる。

2 町長は、前項の代執行を行うときは、環境審議会の意見を聴かなければならない。

第4節 花いつぱいの推進等

(花いつぱいの推進)

第21条 町は、良好な景観をつくるため、花いつぱい運動を推進するものとする。

2 町は、その保有又は管理する建物、公園、広場、道路等に花、花木等を植栽し、適正な管理に努めるものとする。

3 町は、国、地方公共団体及び公益法人に、その保有又は管理する建物、公園、広場、道路等に花、花木等を植栽し、適正な管理に努めるよう要請するものとする。

4 町民等、事業者及び土地所有者等は、その保有又は管理している家屋、事業所等の敷地に花、花木等を植栽し、適正な管理に努めるものとする。

(緑化の推進)

第22条 土地所有者等は、豊かな自然景観と暮らしの調和を図り、良好な環境づくりに資するため、土地の緑化に努めるものとする。

第5節 生活環境の保全

(悪臭発生の防止)

第23条 事業者は、その事業場において、著しく生活環境を損なうおそれがあると認められる不快な臭気を発生させないよう努めるものとする。

(ばい煙排出の防止)

第24条 事業者は、その事業場において、燃料その他の物質の燃焼により著しく周囲の景観を悪化させるおそれがあると認められるばい煙を発生させないよう努めるものとする。

(土ぼこり発生の防止)

第25条 町民等及び事業者は、自らの行為により著しく周囲の景観を悪化させるおそれがあると認められる土ぼこりを発生させないよう努めるものとする。

(愛がん動物の飼育)

第26条 飼い犬、飼い猫その他の愛がん動物を飼育する者は、その愛がん動物のふん等汚物を適正に処理し、公共の場所又は他人の土地を汚染してはならない。

第6節 屋外広告物の適正管理

(屋外広告物に対する措置)

第27条 屋外において看板、広告物その他これらに類するものを表示し、掲出し、又は設置しようとする者は、屋外広告物法及び北海道屋外広告物条例(昭和25年北海道条例第70号)その他の関係法令を遵守し、美観風致を害さないよう努めなければならない。

(屋外広告物に対する指導)

第28条 町長は、関係機関と協力し、前条の規定に違反する屋外広告物を表示し、掲出し、若しくは物件を設置し、又はこれらを管理する者に対し、適正な表示又は設置等を行うよう改善を求める指導を行うことができる。

第7節 ふるさと景観眺望点

(ふるさと景観眺望点)

第29条 町長は、蘭越町の優れた景観を眺望できる地点を「ふるさと景観眺望点」として指定することができる。

2 町民は、蘭越町の区域のうち優れた景観を眺望できると認められる地点をふるさと景観眺望点として指定するよう、町長に要請することができる。

3 町長は、ふるさと景観眺望点が広く町民等に利用されるよう、その周知に努めるものとする。

4 町長は、第1項の指定を行うときは、環境審議会の意見を聴くものとする。

第3章 開発事業の適正化

(開発事業の協議)

第30条 景観法第16条の規定により景観行政団体の長(北海道知事)への届出をもつて開発行為を行おうとする者(以下「開発事業者」という。)は、当該事業の内容及び工事施工方法等について町長と協議しなければならない。

(事前景観調査)

第31条 開発事業者は、前条の協議に先立つて、当該事業の実施により、景観上影響を及ぼすおそれのある地域を対象として、事前景観調査(以下「調査」という。)を行うものとする。

2 調査の実施に当たつては、事前に町と協議して調査を行い、報告書を提出するものとする。

(説明会の開催)

第32条 前条第1項による調査を行つた開発事業者は、第30条の協議に先立ち、当該事業の内容及び工事施工方法並びに景観への影響について関係住民等の理解を得るため、説明会を開催しなければならない。

2 開発事業者は、説明会を開催する場合は、説明会を開催する日の10日前までにその旨を関係住民等に公表するとともに、町長に通知しなければならない。

3 開発事業者は、説明会の開催に当たり、町職員を立ち会わせなければならない。

4 開発事業者は、説明会を行つたときは、遅延なく、その結果を町長に報告しなければならない。

5 開発事業者は、説明会において関係住民等との協議により必要が生じた場合は、関係住民等と景観に関する協定を締結するものとする。

(協議の審査)

第33条 町長は、第30条の規定による協議があつたときは、前条の説明会における関係住民等の意見を勘案したうえで審査するとともに、必要に応じ、蘭越町環境審議会の意見を聴くものとする。

(助言又は指導)

第34条 町長は、前条の規定による審査の結果、景観づくりのために必要があると認めたときは、開発事業者に対し、必要な対策を行うよう助言し、又は指導することができる。

(町長の同意)

第35条 町長は、第30条の規定による協議について、助言若しくは指導を行う必要がないと認めたときは開発事業者に対し、速やかに、開発事業に同意する旨を通知するものとする。

2 町長は、前項の規定により同意する場合において、この条例の目的を達成するために必要と認めるときは、条件を付すことができる。

3 町長は、第30条の規定による協議について、町の景観に著しく支障があると認めたときは、開発事業者に対し、速やかに、開発事業に同意しない旨を通知するものとする。

(勧告)

第36条 町長は、開発事業者が次の各号のいずれかに該当し、町の景観に著しく支障があると認めたときは、当該事業の中止若しくは原状への回復又はこれに替わるべき必要な対策を行うことを勧告することができる。ただし、第1号第2号の勧告をするときは、事前に指導を行うものとする。

(1) 第30条の規定による協議を行わないとき。

(2) 第32条第1項の規定による説明会を開催しないとき。

(3) 第34条の規定による助言又は指導に従わないとき。

(4) 第35条第3項の規定による同意しない旨の通知を受けた開発事業者が当該事業に着手したとき。

2 町長は、前項の規定により勧告をした場合において景観上必要があると認めるときは、開発事業者に対し、当該勧告に基づいて行つた対策について報告を求めることができる。

(氏名等の公表)

第37条 町長は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由なくしてその勧告に従わないときは、蘭越町環境審議会の意見を聴いた上で、当該勧告に従わない者の氏名及びその内容を公表することができる。

第4章 景観づくり協定

(景観づくり協定)

第38条 一定の区域を形成している土地、建物等の所有者又はこれらを使用している者(以下、本条において「所有者等」という。)は、当該区域において地域の創意工夫による景観づくりを行うため、次の各号に掲げる事項のいずれかについて、それぞれの実施につき区域内の所有者等の3分の2以上の合意をもつて、景観づくり協定(以下「協定」という。)を締結することができる。

(1) 花いつぱいの推進に関する事項

(2) 自然景観の保全に関する事項

(3) その他景観づくりのため町長が適当と認める事項

(協定の認定等)

第39条 前条に規定する協定の代表者は、当該協定を証し、その内容を記した書面の写しを町長に提出し、町の認定を求めることができる。

2 町長は、前項の規定により協定の認定の申請があつたときは、環境審議会の意見を聴き、及びその適否を決定し、代表者に通知するものとする。

3 町長は、前項の規定により協定を認定したときは、これを公表し、町の施策の推進上尊重するものとする。

4 第1項及び第2項の規定は、協定の内容を変更しようとするときについて、適用する。

(協定の廃止)

第40条 協定の代表者は、前条の規定により認定を受けた協定を廃止しようとするときは、その理由を記した書面をもつて、町長に報告しなければならない。

第5章 助成

(助成)

第41条 町長は、前条の規定により認定した協定に基づき実施される取組に対し、予算の範囲内において、その取組に要する経費の一部を助成することができる。

第6章 雑則

(立入調査)

第42条 町長は、この条例の施行に必要な範囲内において、職員を指定し、景観づくりを著しく損うおそれのある土地、建物等の立入調査をさせ、説明若しくは報告を求め、又は関係者に対して必要な指示若しくは指導させることができる。

2 前項の立入調査を受けた者は、当該立入調査に協力し、その指示又は指導に従わなければならない。

3 第1項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者にこれを提示しなければならない。

4 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(委任)

第43条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成17年10月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日以前に着手している開発事業については、第3章の規定は適用しない。

(平成20年9月29日条例第24号)

この条例は、平成20年10月1日から施行する。

(令和2年12月16日条例第27号)

この条例は、公布の日から施行する。

蘭越町こぶし咲くふるさと景観条例

平成17年3月11日 条例第6号

(令和2年12月16日施行)

体系情報
第10編 設/第1章 土木・河川
沿革情報
平成17年3月11日 条例第6号
平成20年9月29日 条例第24号
令和2年12月16日 条例第27号