○妹背牛町コンプライアンス推進条例
令和6年3月5日
条例第1―1号
(目的)
第1条 この条例は、職員が高い倫理観を持って創造的かつ主体的に職務を遂行するにあたって、町のコンプライアンス体制に関し必要な事項を定めるとともに、職員の公平かつ公正な職務の遂行を確保するために必要な措置を講ずることにより、町民に信頼される町政を確立することを目的とする。
(1) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第3条第2項に規定する一般職に属する職員及び、同条第3項第2号に規定する特別職の職員及び非常勤職員(公益法人等への職員の派遣等に関する条例(平成17年3月18日条例第1号)第2条第1項に規定する職員を含む)並びに、法第22条の2第1項に規定する会計年度任用職員をいう。
(2) 職員等 次に掲げる者をいう。
ア 職員
イ 町から事務又は事業を受託した者及びその役員並びに当該受託業務に従事している者
ウ 指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する者をいう。)及びその役員並びにその管理する公の施設の管理の業務に従事している者
(3) 任命権者 法第6条第1項に規定する任命権者をいう。
(4) 法令等 法律及び法律に基づく命令(告示を含む。)並びに条例、町の執行機関の規則(地方自治法第138条の4第2項の規程を含む。)及び要綱をいう。
(5) コンプライアンス 職員が、法令等を遵守することを基本に、次条に規定する職員が遵守すべき倫理原則に基づき、高い倫理観を公平かつ公正に職務を遂行することをいう。
(6) 不祥事件 任命権者、副町長、職員が次の各号のいずれかに該当する行為を行ったことにより発生した事件をいう。
ア 法令等に違反する行為
イ 職務上の義務に違反し、又は職務を怠る行為
ウ 町民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行
エ その他職務の執行の公正さに対する町民の疑惑又は不信を招くような行為
(8) 不当要求行為 職員に対し、公正な職務の遂行を損なうおそれのある行為を求める要求、又は暴力行為等の社会通念上相当と認められる範囲を逸脱した手段により要求を図る行為をいう。
(9) 働きかけ 町が行う事務若しくは事業に関し、特定の者に利益又は不利益な取扱いがなされるよう求めること又は職務上の秘密を漏らすことを求める行為をいう。ただし、次に掲げるものを除く。
ア 議会、委員会、審議会等公式又は公開の場で行われたもの
イ 陳情書、要望書等書面により提出されたもの
ウ 前号の不当要求行為として取り扱われたもの
エ その他働きかけに該当しないものとして認められるもの
(職員の倫理原則)
第3条 職員は、職員の服務の宣誓に関する条例(昭和26年条例第7号)に規定する宣誓を常日頃から念頭に置き、妹背牛町職員としての誇りを持ち、かつ、その使命及び責任を自覚し、次に掲げる事項をその職務に係る倫理の保持を図るために遵守すべき基準として行動しなければならない。
(1) 職員は町民全体の奉仕者であり、町民の一部に対しての奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について町民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等の不当な取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならない。
(2) 職員は常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務又は地位を自ら又は自らの属する組織の私的利益のために用いてはならない。
(3) 職員は、法令により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受ける等の町民の疑惑又は不信を招くような行為をしてはならない。
(4) 職員は、職務の執行に当たり、法令若しくは職務上の義務に違反し、又は職務の執行の公正さを損なうおそれのある行為を求める不当な要求に一切応じてはならない。
(5) 職員は、勤務時間外においても、法令を遵守し、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを常に認識して行動しなければならない。
(任命権者の責務)
第4条 任命権者は、町民及び職員の意見を聴き、所管する組織全体が町民の要請に応えられるものとなっているか常に検証し、その改善に努め、実効性のある組織体制を整備していかなければならない。
2 任命権者は、職員の倫理の保持及び職員の資質向上を図るため、次に掲げる必要な措置を講じ、組織としての能力を最大限に引き出さなければならない。
(1) 法令等遵守、倫理保持及び能力向上のための研修の実施
(2) 内部けん制を機能させるための内部監査等の実施
(3) その他コンプライアンス体制の確立のための必要な施策
(管理監督者の責務)
第5条 職員を管理し、又は監督する立場にある者(以下「管理監督者」という。)は、管理監督者の責務を自覚し、率先垂範して職員の倫理の高揚に努めるとともに、自らが職員の模範とならなければならない。
2 管理監督者は、この条例の遵守及び服務規律の徹底に関し、管理又は監督の対象となる職員に対する指導及び監督に細心の注意を払い、必要に応じて助言し、又は相談に応ずるものとする。
3 管理監督者は、部下職員の職務負担の軽減、均衡等を図るとともに、職員相互が自由かったつな意見交換により情報を共有し、一人一人の創造力が発揮できる良好な職場環境の醸成及び維持に努めなければならない。
(職員の責務)
第6条 職員は、第3条に規定する倫理原則に従い公益通報を行うなど、不正な行為の防止及び早期発見に努め、不正な行為を認識していながら放置してはならない。
2 職員は、違法又は公正な職務の遂行を損なうおそれがある行為を求める要求があったときは、これを拒否しなければならない。
(町民の理解及び協力)
第7条 町民は、町政を支える一員であることを自覚し、常に町政に関心を払うことにより、職員の公平かつ公正な職務の遂行について理解し、協力するよう努めるものとする。
(不当要求行為等の禁止)
第8条 何人も、職員に対し、公正な職務の遂行を損なうおそれのある不当要求行為等をしてはならない。
(コンプライアンス委員会)
第9条 町のコンプライアンス体制の確立、維持、管理及び指導のため、妹背牛町コンプライアンス委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、委員5人以内をもって組織する。
3 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。
4 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(委員会の所掌事務)
第10条 委員会は、この条例の規定により、次の事務を所掌する。
(1) 委員会に意見を聴くこととされた事項について、調査審議し、意見を述べること。
(2) 委員会に報告することとされた事項について、報告を受け、必要に応じ意見を述べること。
(3) 依頼により不祥事件の調査を実施し、是正の措置を勧告すること。
(4) 公益通報の受付、調査及び報告並びに必要に応じ、通報者の保護及び不利益取扱いに関する是正の措置を勧告すること。
(5) 不当要求行為、働きかけ等に関し、必要な助言をすること。
2 前項に定めるもののほか、委員会は、町のコンプライアンスに関する重要事項について、調査審議し、意見、助言又は勧告をすることができる。
(委員会の権限等)
第11条 委員会は、不祥事件、公益通報その他の事案に関し、必要があると認めるときは、職員その他関係者に対し、出席を求め、資料の提出を求め、意見若しくは知っている事実を陳述させ又は鑑定を求めることその他必要な調査をすることができる。
2 任命権者は、委員会から前項の規定による求めがあったときは、これを拒んではならない。
3 委員会は、不祥事件、公益通報その他の事案に関し、必要な措置等を勧告することができる。この場合において、勧告を受けた任命権者は、これを最大限尊重しなければならない。
(監査委員との連携)
第12条 委員会は、監査委員に対し、町の業務の執行に関し監査を要求する等必要に応じ監査委員と連携を図るものとする。
(調査審議手続の非公開)
第13条 委員会の行う調査審議の手続は、公開しない。ただし、職員その他関係者が意見又は事実を陳述する場合において、当該職員その他関係者から公開の申立てがあったときは、委員会は、会議に諮り、その意見又は事実の聴取を公開することができる。
(審議結果等の公表)
第14条 委員会は、意見書、報告書、勧告書等を作成したときは、任命権者その他関係者に送付するとともに、速やかに公表するものとする。
2 前項の規定にかかわらず、公益通報その他の事案において、通報者等関係者の保護が必要な場合は、公表しない。
(不祥事件への対応措置)
第16条 任命権者は、不祥事件が発生したときは、町長に報告する(町長が任命権者である場合を除く。以下この条において同じ。)とともに、速やかに事実の確認、原因の分析及び責任の所在の明確化等の調査(以下「不祥事件調査」という。)を実施し、並びに再発防止のために必要な是正の措置(以下「是正措置」という。)を講じなければならない。
2 任命権者は、前項の不祥事件調査の結果及び是正措置を町長及び委員会に報告するとともに、その概要を速やかに公表しなければならない。
(不祥事件調査の依頼等)
第17条 任命権者は、不祥事件調査を委員会に依頼することができる。
2 前項の場合において、委員会は、不祥事件調査の結果を町長及び任命権者(町長である任命権者を除く。)に報告するとともに、是正措置について勧告することができる。
(公益通報)
第18条 職員等は、公益通報の必要があると認めたときは、規則に定める公益通報相談員(以下「相談員」という。)にその内容を通報することができる。
2 相談員は、前項に規定する通報を受け付けたときは、委員会へ報告しなければならない。
3 職員等は、公益通報を行う場合は、可能な限り確実な資料に基づき、実名で書面をもって行わなければならない。ただし、公益通報の根拠を委員会に示すことができる場合は、匿名で通報することができる。
(通報者の保護)
第19条 前条第1項の規定により通報した者(以下「通報者」という。)に関する情報は、公開しない。
2 任命権者は、通報者に対し公益通報を行ったことにより、いかなる不利益な取扱いもしてはならない。
3 委員会は、通報者が前項の不利益を受けるか、又は受けるおそれがあると認めるときは、任命権者に対し、その改善又は防止のために必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(公益通報に係る委員会の職務)
第20条 委員会は、公益通報を受けたときは、これを記録するとともに、当該通報の内容の真否について調査し、当該通報の内容が事実であると判明したときは、当該調査の結果を町長及び任命権者(町長である任命権者を除く。)に報告しなければならない。この場合において、委員会は、通報者保護のため必要があると認めるときは、通報者の氏名その他通報者が特定できる情報を報告しないことができる。
2 委員会は、前項の事実が町に重大な損害を与え、又は町民に重大な影響を及ぼすと認めるときは、その事実を速やかに関係機関に連絡しなければならない。
3 委員会は、通報者に対し、第1項前段の規定による報告の内容を通知するものとする。
4 委員会は、第1項の規定による調査の結果、当該通報の内容が事実でないと判明したとき又は事実であると確認できなかったときは、当該調査の結果を通報者に通知するものとする。
5 前2項の規定は、第18条第3項ただし書の規定により、通報者が特定できないときは、適用しない。
(公益通報に係る措置等)
第21条 任命権者は、公益通報の内容が事実であるとの報告を委員会から受けたときは、委員会の意見を尊重し、事実の確認を行い、公益通報の内容が事実であると認めるときは、当該公益通報に係る行為を是正するとともに再発を防止するために必要な措置を講じなければならない。
2 任命権者は、公益通報者が公益通報を行ったことにより不利益な取扱いを受け、又は受けるおそれがあると認めるときは、直ちに改善又は防止のための措置を講じなければならない。
3 任命権者は、前2項の措置を講じたときは、町長に報告するものとする。(町長である任命権者を除く。)
(不当要求行為等)
第22条 職員は、不当要求行為若しくは働きかけ(以下「不当要求行為等」という。)があったときは、その行為の内容を記録して所管する所属長(課長(相当職を含む。)又は出先機関の長(以下「所属長」という。))に報告しなければならない。
2 所属長は、前項の規定による報告を受けたときは、その記録を委員会に提出しなければならない。ただし、不当要求行為等に該当しないことが明らかな場合は、この限りでない。
(不当要求行為等に係る委員会の職務)
第23条 委員会は、前条第2項の規定により提出された記録又は報告の内容について不当要求行為等に該当するかどうかの調査を行うものとする。
2 委員会は、調査の結果、不当要求行為等に該当すると認めるときは意見を付して、該当しないと認めるときはその旨を町長及び任命権者(町長である任命権者を除く。)に報告するものとする。
(不当要求行為等に係る措置等)
第24条 任命権者は、前条第2項の規定により不当要求行為等に該当するものがあるとの報告を委員会から受けたときは、委員会の意見を尊重し、事実の確認を行い、不当要求行為等を行った者に対し警告をする等必要な措置を講ずるものとする。
2 任命権者は、前項の必要な措置を講じた場合には、町長に報告するものとする。(町長である任命権者を除く。)
3 町長は、前項の報告を受け、必要があると認めるときは、不当要求行為等を行った者の氏名、警告の内容その他の必要な事項を公表することができる。
(委員会の助言)
第25条 任命権者は、必要に応じ、不当要求行為、働きかけ等に関し、委員会に助言を求めることができる。
(運用状況の公表)
第26条 町長は、不祥事件、公益通報、不当要求行為及び働きかけの概要その他この条例の運用の状況を毎年度公表するものとする。
(委任)
第27条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、令和6年4月1日から施行する。