○平取町みどり豊かな環境保全条例
平成5年11月29日
条例第39号
目次
前文
第1章 総則(第1条~第9条)
第2章 自然環境保全基本方針(第10条)
第3章 自然環境保全地区等(第11条~第19条)
第4章 緑化の推進(第20条・第21条)
第5章 開発行為の事前協議等(第22条~第26条)
第6章 環境審議会(第27条)
第7章 補則(第28条~第34条)
第8章 罰則(第35条~第38条)
附則
わたしたちのまち平取町は、自然資源と歴史的資源に恵まれたまちであり、郷土の自然を保全し、創造することは、今日の重要な課題である。
こうした豊かで美しい自然の景観は、わたしたちに潤いと安らぎを与え、健康で文化的な生活を営むうえでなくてはならないものであり、いまこそ、自然がもたらす貴重な価値に思いをいたし、この恵まれた自然を守り、育てなければならない。
わたしたちは、先人たちの遺産である美しい山や川の風景などを将来の世代に継承していくため、町民共通のテーマとして無秩序な開発を防止しつつ、豊かなみどりにつつまれた美しく明るい生活環境をつくり、文化的で安らぎと潤いのあるまちづくりを進めるために、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、自然環境保全法(昭和47年法律第85号)その他の法令と相まって、平取町における自然環境の適正な保全と回復育成(以下「自然環境の保全」という。)を総合的に推進し、もって町民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(町の責務)
第2条 町は、自然環境の適正な保全について特に配慮するとともに、自然環境の保全のための基本的かつ総合的な施策を策定し、これを実施しなければならない。
(1) 国・道並びに隣接する他の地方公共団体と協力し、沙流川流域の自然環境の保全に関する広域的施策の推進を図ること。
(2) 自然の積極的な造成、保護及び利用に関する施設の整備の推進を図ること。
(3) 自然環境保全に関する知識の普及、情報の提供及び意識の高揚を図ること。
(4) 自然環境保全に関する町民の意見及び提案を尊重するとともに、町民が行う自主的活動の助長を図ること。
(事業者の責務)
第3条 事業者は、その事業活動にあたって自然環境の保全に必要な措置を講ずるとともに、町が実施する自然環境の保全に関する施策に積極的に協力しなければならない。
(町民の責務)
第4条 町民は、自然環境の保全に自ら努めるとともに、町が実施する自然環境の保全に関する施策に協力しなければならない。
(自然環境の保全に関する協定の締結等)
第5条 町長は、自然環境を保全するために必要があるときは、事業者その他の利害関係人と自然環境の保全に関する協定を締結する等の措置を講ずるよう努めなければならない。
(自然損傷等の禁止)
第6条 何人も、みだりに自然を損傷し、又は汚損してはならない。
(財産権の尊重及びその他公益との調整)
第7条 自然環境の保全にあたっては、関係人の所有権、その他財産権を尊重するとともに、地域の保全その他の公益との調整に留意しなければならない。
(地域開発施策等における配慮)
第8条 町は、地域の開発及び整備その他の自然環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及びその実施にあたっては、自然環境の保全に十分配慮しなければならない。
(町民の理解を深めるための措置)
第9条 町は、教育活動、広報活動等を通じて、自然環境の保全について町民の理解を深めるよう適切な措置を講じなければならない。
第2章 自然環境保全基本方針
(自然環境保全基本方針)
第10条 町長は、自然環境の保全を図るための基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 自然環境の保全に関する基本構想
(2) 自然環境保全地区、保存樹木及び保存樹林の指定に関する基本的な事項
(3) 緑化の推進に関する基本的な事項
(4) 前3号に掲げるもののほか自然環境の保全に関する重要な事項
3 町長は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、平取町みどり豊かな環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 町長は、基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、基本方針の変更について準用する。
第3章 自然環境保全地区等
(自然環境保全地区の指定)
第11条 町長は、すぐれた自然環境を形成している土地の区域のうち、自然的社会的諸条件からみて、その区域における自然環境の保全を図ることが特に必要なものを自然環境保全地区(以下「保全地区」という。)として指定することができる。
2 前項の保全地区の地域には、自然環境保全法第14条第1項の原生自然環境保全地域及び同法第22条第1項の自然環境保全地域、自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第1号の自然公園の区域並びに北海道自然環境等保全条例(昭和48年北海道条例第64号)第14条第1項の道自然環境保全地域及び同条例第22条第1項の環境緑地保護地区等の区域は含まないものとする。
3 町長は、保全地区の指定をしようとするときは、あらかじめ、土地所有者及びその他の関係人と協議するとともに、平取町みどり豊かな環境審議会の意見を聴かなければならない。この場合においては、第14条第1項に規定する保全地区に関する保全計画案についても、あわせて、その意見を聴かなければならない。
4 町長は、保全地区を指定しようとするときは、あらかじめ、規則の定めるところにより、その旨を告示し、その案を当該告示の日から30日間公衆の縦覧に供しなければならない。
6 町長は、前項の規定により縦覧に供された案について異義がある旨の意見書の提出があったとき、又は当該指定に関して広く意見を聴く必要があると認めたときは、公聴会を開催するものとする。
7 町長は、保全地区を指定するときは、その旨及びその区域を告示しなければならない。
8 保全地区の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
10 保全地区として指定された土地所有者又は占有者は、当該保全地区の指定の解除又は区域の変更について町長に申し出ることができる。
11 町民は、保全地区として指定を受けるべき土地があると認められるときは、保全地区の指定について町長に申し出ることができる。
(保存樹木及び保存樹林の指定)
第12条 町長は、樹木又は樹林のうち、良好な環境を維持するために必要なものを保存樹木又は保存樹林(以下「保存樹」という。)として指定することができる。
2 町長は、保存樹を指定しようとするときは、あらかじめ、当該樹木又は樹林の所有者又は利害関係人の同意を得ておかなければならない。
(標識の設置)
第13条 町長は、保全地区又は保存樹(以下「保全地区等」という。)を指定したときは、当該地区内又は所在地内にその旨を表示した標識を設置するものとする。
2 保全地区等の土地の所有者又は占有者は、正当な理由がない限り前項の標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
3 何人も、第1項の規定により設けられた標識を町長の承諾を得ないで移転し若しくは除去し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
(保全地区に関する保全計画)
第14条 保全地区に関する保全計画は、町長が決定する。
2 保全地区に関する保全計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 保全すべき自然環境の特質その他当該地区における自然環境の保全に関する基本的な事項
(2) 当該地区における自然環境の保全のための規制に関する事項
(3) 当該地区における自然環境の保全のための施設に関する事項
3 町長は、保全地区に関する保全計画を決定したときは、その概要を告示しなければならない。
(保全事業)
第15条 保全地区等に関する保全事業は、町が執行する。
2 町長は、保全事業を効果的に推進するため必要があるときは、保全地区等の土地若しくは保存樹の所有者若しくは占有者に対し協力を求め、又は保全事業の執行の一部を委任することができる。
(保全地区における行為の制限)
第16条 保全地区において、次の各号に掲げる行為は、あらかじめ、町長の許可を受けなければ、してはならない。
(1) 建築物、その他の工作物を新築し、改築し、又は増築すること。
(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。
(3) 動物を捕獲し、又は動物の卵を採取すること。
(4) 樹木等を伐採し、移植し、又は採取すること。
(5) 鉱物を採掘し、又は土砂石類を採取すること。
(6) 水面を埋め立て、又は干拓すること。
(7) 河川、又はダム湖等の水位又は水量に増減を及ぼすこと。
(8) 河川、又はダム湖等の周辺1キロメートル以内において、これらに流水が流入する水域若しくは水路に汚水又は廃水を排出すること。
(9) 広告物その他これに類するものを掲出し、又は設置すること。
(10) 前各号に掲げるもののほか、町長が保全地区の保全に影響を及ぼすと認めた行為
2 前項の許可の基準は、規則で定める。
3 第1項の許可には、当該保全地区における自然環境のために必要な限度において、条件を附すことができる。
(1) 保全事業の執行として行う行為
(2) 通常の管理行為又は軽易な行為で規則で定めるもの
(3) 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
(保存樹に係る行為の制限)
第17条 保存樹の現状を変更する行為をしようとする者は、あらかじめ、町長にその旨を届出なければならない。ただし、保存樹が指定された際、既に着手している行為については、この限りでない。
2 町長は、前項の規定による届出があった場合において、当該保存樹の指定の目的を達成するために必要があると認めるときは、その届出をした者に対し、必要な指導、助言又は勧告をすることができる。
(国等に関する特例)
第19条 国・道その他の公共団体又は規則で定める公団等(以下「国の機関等」という。)が行う行為については、第16条第1項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関等は、その行為をしようとするときは、あらかじめ、町長と協議しなければならない。
2 国の機関等は、第17条第1項の規定により届出を要する行為をしようとするときは、当該規定による届出の例により、町長にその旨を通知しなければならない。
3 町長は、前項の規定による通知があった場合において、自然環境の保全のために必要があると認めるときは、当該国の機関等に対し、自然環境の保全のためにとるべき措置について協議を求めるものとする。
第4章 緑化の推進
(緑化の推進)
第20条 町長は、良好な生活環境の確保を図るため、自然的社会的諸条件に応じた緑化の推進に関する計画を作成しなければならない。
2 緑化の推進に関する計画には、次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 緑化計画の目標
(2) 緑地の配置、造成及び利用に関する事項
(3) 前2号に掲げるもののほか、緑化の推進のために必要な事項
3 町長は、緑化の推進に関する計画を定めたときは、これを公表しなければならない。
4 町長は、緑化の推進のために必要があると認めるときは、国の機関等又は土地の所有者その他の関係者に対して、緑化の推進のために必要な措置を講ずるよう要請することができる。
(公共施設等の緑化)
第21条 町は、良好な生活環境の確保を図るため、自ら又は国・道その他の関係者の協力を得て、道路、河川、公園、学校、病院、庁舎等の公共施設について、植樹等により緑化を計画的に推進するものとする。
第5章 開発行為の事前協議等
(事前協議)
第22条 面積が3,000平方メートル以上の土地の区画形質の変更をしようとする者は、あらかじめ、規則の定めるところにより、当該行為の計画の内容について、町長に協議しなければならない。
(事前環境調査)
第23条 前条の規定する行為のうち、自然環境等に著しい影響を及ぼすおそれのあるものとして、規則で定める行為をしようとする者は、あらかじめ、当該行為が自然環境に及ぼす影響を調査し、良好な自然環境を破壊しないよう努めなければならない。
(事前公開)
第24条 第22条に規定する行為をしようとする者は、規則で定める標識に所定の事項を記入し、行為予定地の公衆の見やすい場所に設置しなければならない。
2 第22条に規定する行為をしようとする者は、あらかじめ、当該行為の計画の内容について、行為予定地に係る住民、利害関係人及びその他町長が特に必要と認める者に対して説明会等の方法により周知するとともに、理解を得なければならない。
(中止命令等)
第25条 町長は、第22条の規定による事前協議において、当該行為が豊かな自然環境等を阻害すると認められるときは、当該行為をしようとする者に対し、自然環境等の保全のため必要な措置を講ずべきことを指導し、若しくは勧告し、又は計画の変更若しくは中止その他の措置を命ずることができる。
(適用除外)
第26条 国の機関等が行う行為その他規則で定めるものについては、この章の規定は適用しない。
第6章 環境審議会
(設置及び所掌事項)
第27条 町長の諮問機関として、平取町みどり豊かな環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、この条例によりその権限とされた事項及び町長が諮問する自然環境の保全に関する重要な事項を調査審議する。
3 審議会は、自然環境の保全に関し必要と認める事項を町長に建議することができる。
4 審議会は、委員15人以内で組織する。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
6 補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
7 特別の事項を調査、審議するため必要があるときは、審議会は専門委員を置くことができる。
8 専門委員は、当該専門事項に関する調査、審議が終了したときは、解任されるものとする。
9 審議会の委員及び専門委員は、学識経験のある者のうちから、町長が任命し、又は委嘱する。
第7章 補則
2 前項の職員は、その身分を証する証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
(違反行為の公表)
第29条 町長は、この条例の規定に違反して著しく自然環境等を破損している者があるときは、その違反の事実及び違反者の氏名を公表することができる。
(原因者負担)
第30条 第16条第1項各号に掲げる行為により自然環境が破壊され、保全事業の執行が必要となった場合は、その原因となった行為を行った者が自らの責任と負担において、自然環境の保全のための保全事業を行わなければならない。
(実地調査)
第31条 町長は、保全地区等の指定若しくはその区域の拡張、保全計画の決定若しくは変更又は保全事業の執行に関し、実地調査のため必要があるときは、その職員に他人の土地に立ち入り、標識を設置させ、測量させ、又は実地調査の障害となる樹木若しくはかき、さく等を伐採させ、若しくは除去させることができる。
2 町長は、その職員に前項の規定による実地調査をさせようとするときは、あらかじめ、土地の所有者及び占有者並びに樹木又はかき、さく等の所有者にその旨を通知しなければならない。
3 第1項の職員は、その身分を証する証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
4 土地の所有者若しくは占有者又は立木若しくはかき、さく等の所有者は、正当な理由がない限り、第1項の規定による立入りその他の行為を拒み、又は妨げてはならない。
(援助等)
第33条 町長は、この条例により指定された保全地区等の土地又は保存樹の所有者に対し、自然環境の保全のために特に必要と認めるときは、規則で定めるところにより援助等の措置を講ずることができる。
(規則への委任)
第34条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
第8章 罰則
(罰則)
第35条 第18条の規定による命令に違反した者は、10万円以下の罰金に処する。
第36条 次の各号の一に該当する者は、5万円以下の罰金に処する。
(1) 第16条第1項の規定に違反した者
(2) 第16条第3項の規定により許可に附された条件に違反した者
附則