○美瑛の美しい景観を守り育てる条例
平成27年1月30日条例第4号
美瑛の美しい景観を守り育てる条例
美瑛の美しい景観を守り育てる条例(平成15年美瑛町条例第5号)の全部を改正する。
目次
前文
第1章 総則(第1条~第8条)
第2章 景観計画(第9条~第11条)
第3章 景観計画区域内における行為の制限等(第12条~第19条)
第4章 景観重要建造物及び景観重要樹木(第20条・第21条)
第5章 表彰、助成等(第22条・第23条)
第6章 景観審議会(第24条~第29条)
第7章 雑則(第30条~第32条)
附則
前文
美瑛町の農業景観は、雄大な十勝岳連峰の山々を背景に開拓の頃からの町民生活や農業の営みによってつくられてきました。この景観は、私たち町民に潤いと安らぎをもたらし、また訪れる多くの人々の心をいやし、感動を与えるなど全国的にも貴重な景観であり、町にとってかけがえのない財産です。
美瑛町には、農業景観をはじめ、それぞれの地域に生活や文化、歴史、産業の営みなどを表現している素晴らしい景観があります。私たちは、それらの景観や豊かな自然に囲まれた生活の中で、郷土を愛する心を育み、それを次の世代に伝え、いつまでも住みよい魅力ある町であり続けたいと願うものです。
そのためには、町民一人一人が景観づくりの担い手となり、町民等、行政、事業者が相互に協力して景観の保全と形成に取り組まなければなりません。
私たちは、景観法に定める理念とともに、美瑛町の美しい景観が町民みんなの共有財産であることを認識し、町民みんなで美瑛の地域資源である景観を守り、育て、活かし、魅力ある美瑛町を創造するため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、美瑛町の美しい景観の保全と形成に関し必要な事項及び景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の施行に関し必要な事項を定めるとともに、総合的な施策に関して必要な事項を定め、町民等、町及び事業者が協働し、潤いと安らぎを実感できる快適で魅力あふれる美瑛町の創造に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 町民 町内に住所を有する者をいう。
(2) 町民等 町民、町内の居住者及び土地又は建築物等の所有者又は占有者をいう。
(3) 景観計画 法第8条第1項に規定する景観計画をいう。
(4) 景観計画区域 法第8条第2項第1号に規定する景観計画区域をいう。
(5) 景観づくり 景観を保全し、育成し、及び形成することをいう。
(6) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(7) 工作物 建築物以外の工作物で規則で定めるものをいう。
(8) 屋外広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物をいう。
(9) 建築等 法第16条第1項第1号に規定する建築等をいう。
(10) 建設等 法第16条第1項第2号に規定する建設等をいう。
(11) 景観重要建造物 法第19条第1項に規定する景観重要建造物をいう。
(12) 景観重要樹木 法第28条第1項に規定する景観重要樹木をいう。
(13) 関係住民等 法第16条第1項第1号から第4号に規定する行為に伴いその影響が懸念される町民等で規則で定めるものをいう。
(基本理念)
第3条 町は、次に掲げる基本理念に基づき、美瑛らしい景観づくりを推進する。
(1) 地域の自然、歴史、文化等と町民の生活、経済活動等と調和のとれた景観づくりを行う。
(2) 町民等、町及び事業者との協働による景観づくりを行う。
(3) 豊かな自然を活かし、郷土を愛する心を育み、次の世代に引き継いでいく景観づくりを行う。
(町民等の責務)
第4条 町民等は、自らが景観づくりの主体であることを認識し、相互に協力して景観づくりに寄与するよう努めなければならない。
(町の責務)
第5条 町は、景観づくりに関し、必要な調査を行うとともに基本的かつ総合的な施策を策定し、これを実施しなければならない。
2 町は、景観づくりに関する施策の策定及び実施において、町民の意見が十分に反映されるよう努めなければならない。
3 町は、景観づくりに先導的役割を果たすよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、自らの活動が地域景観に大きな影響を与えることを認識し、景観づくりに自ら努めるとともに、町が実施する景観づくりに協力しなければならない。
(知識の普及等)
第7条 町は、町民等の景観づくりに関する知識の普及及び意識の向上を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
(国等に対する協力の要請)
第8条 町長は、景観づくりに関して必要があると認めるときは、国又は他の地方公共団体に対し、景観づくりについて協力を要請するものとする。
第2章 景観計画
(景観計画の策定)
第9条 町長は、基本理念に則り、景観づくりを行うための基本的かつ総合的な施策を計画的に進めるため、景観計画を定めるものとする。
2 町長は、景観計画において、景観計画区域内で特に良好な景観づくりを進める必要がある地域を景観育成区域として指定し、当該区域における良好な景観づくりに関し必要な事項を定めることができる。
3 町長は、景観計画を定めようとするときは、法第9条の規定によるほか、あらかじめ、美瑛町景観審議会(第24条第1項に規定する「美瑛町景観審議会」をいう。以下第5章まで同じ。)の意見を聴かなければならない。
4 前項の規定は、景観計画の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)についても準用する。
(計画提案をすることができる団体)
第10条 法第11条第2項の条例で定める団体は、良好な景観づくりを推進する活動を行うことを目的とし、規則で定める団体とする。
(計画提案があった場合の手続)
第11条 町長は、法第11条第1項又は第2項の規定による提案があった場合は、同条第3項の計画提案に係る景観計画の素案を提出して美瑛町景観審議会の意見を聴かなければならない。
第3章 景観計画区域内における行為の制限等
(行為の届出等)
第12条 法第16条第1項若しくは第2項の規定による届出又は同条第5項の規定による通知(以下「行為の届出等」という。)は、規則で定めるところにより行わなければならない。
2 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、次の各号に掲げる行為とする。
(1) 土地の区画形質の変更
(2) 急傾斜地での土地の造成
(3) 森林の伐採
(4) その他景観づくりの目標達成に影響を及ぼすと認められる行為であって町長が指定し、告示したもの
3 前項各号に掲げる行為に係る法第16条第1項の規定による届出は、同項及び景観法施行規則(平成16年国土交通省令第100号。以下「省令」という。)第2条に規定する事項を記載した届出書に規則で定める図書を添付して行うものとする。
4 第2項各号に掲げる行為に係る法第16条第2項の条例で定める事項は、省令第3条に規定する事項とする。
(適用除外行為)
第13条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 他の法令又は条例の規定に基づき、許可、認可、届出等を要する行為のうち、規則で定めるもの
(2) 農業及び林業を営むために行う行為
(3) 規則で定める規模の行為
(特定届出対象行為)
第14条 法第17条第1項に規定する特定届出対象行為は、法第16条第1項第1号及び第2号の届出を要する行為とする。
(事前公開)
第15条 法第16条第1項及び第2項の規定による届出をしようとする者(以下「届出者」という。)は、当該届出に係る行為の内容について町民等に公開しなければならない。
2 届出者は、前項に規定する公開を行うに当たっては、規則で定める標識を当該届出に係る行為をしようとする土地の区域内の見やすい場所に設置しなければならない。
(説明会の開催)
第16条 届出者は、前条第1項に規定する公開を行った後、当該届出に係る行為の内容及び景観への影響について関係住民等の理解を得るための説明会(以下「説明会」という。)を開催しなければならない。
2 届出者は、説明会を開催する場合は、説明会を開催する日の1週間前までにその旨を関係住民等に公表するとともに、町長に通知しなければならない。
3 町長は、説明会の開催に当たって、町職員を立ち会わすことができる。
4 届出者は、説明会を行ったときは、規則で定めるところにより、その結果を町長に報告しなければならない。
5 届出者は、説明会において関係住民等との協議により必要が生じた場合は、関係住民等と協定を締結するものとする。
6 町長は、当該届出に係る行為の位置、規模、目的等が景観に与える影響が大きいと認めるときは、規則で定めるところにより、当該行為について、町民の意見を聴く機会を設けることができる。
(勧告又は変更命令等の手続)
第17条 町長は、法第16条第3項の規定による勧告をしようとするとき、又は法第17条第1項若しくは第5項の規定により必要な措置を命じようとするときは、あらかじめ、美瑛町景観審議会の意見を聴かなければならない。
(軽易な行為)
第18条 町内において、次に掲げる行為を行おうとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ、町長に届け出なければならない。ただし、法第16条第1項の規定により、届出を要する行為を除く。
(1) 法第16条第1項第1号から第4号に規定する行為で規則で定めるもの
(2) 前号に掲げるもののほか、景観に影響を及ぼすと認められる行為であって町長が指定し、告示したもの
2 町長は、前項に規定する届出があった場合において、景観づくりに支障があると認めたときは、当該届出をした者に対し計画の変更等必要な指導又は助言をすることができる。
(空地等の管理の要請)
第19条 町長は、景観計画区域内の空地、遊休地、廃屋等(以下「空地等」という。)が当該地区の景観を著しく阻害していると認めるときは、当該空地等の所有者又は占有者に対し、景観づくりに配慮した空地等の管理を行うよう要請することができる。
第4章 景観重要建造物及び景観重要樹木
(景観重要建造物の指定)
第20条 町長は、法第19条第1項の規定により景観重要建造物を指定しようとするときは、同条第2項の規定に定めるもののほか、あらかじめ、美瑛町景観審議会の意見を聴かなければならない。
(景観重要樹木の指定)
第21条 町長は、法第28条第1項の規定により景観重要樹木を指定しようとするときは、同条第2項の規定に定めるもののほか、あらかじめ、美瑛町景観審議会の意見を聴かなければならない。
第5章 表彰、助成等
(表彰)
第22条 町長は、景観づくりに著しく寄与していると認められる建築物その他のものについて、その所有者、設計者、施工者等を表彰することができる。
2 町長は、前項に定めるもののほか、景観づくりに著しく寄与したと認められる行為を行った者を表彰することができる。
3 町長は、前2項の規定により表彰する者を決定しようとするときは、あらかじめ、美瑛町景観審議会の意見を聴かなければならない。
(助成等)
第23条 町長は、景観重要建造物及び景観重要樹木の所有者等に対し、その保存のために技術的援助を行い、又はその保存等に要する経費の一部を助成することができる。
2 町長は、前項に定めるもののほか、景観づくりに寄与すると認められる行為を行おうとする者に対し、技術的援助を行い、又はその行為に要する費用の一部を助成することができる。
第6章 景観審議会
(景観審議会の設置)
第24条 美瑛町の景観づくりに関し重要な事項を調査審議するため、美瑛町景観審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、町長の諮問に応じ、次の事項について調査及び審議するものとする。
(1) この条例の規定により定められた事項
(2) その他景観づくりに関し町長が必要と認める事項
3 審議会は、景観づくりに関し必要と認める事項を町長に建議することができる。
(組織)
第25条 審議会は、12人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから町長が委嘱する。
(1) 有識者
(2) 公募による者
3 審議会に専門部会を設置することができる。
(委員の任期)
第26条 委員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。
2 委員に欠員が生じた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第27条 審議会に会長及び副会長を置く。
2 会長及び副会長は、委員が互選する。
3 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるときは、その職務を代理する。
(会議)
第28条 審議会の会議は、会長が招集する。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
(特別委員)
第29条 審議会に特別な事項を調査及び審議させるために必要があるときは、特別委員を置くことができる。
2 特別委員は、町長が委嘱する。
3 特別委員は、特別な事項の調査及び審議が終了したときは、委嘱を解かれたものとする。
第7章 雑則
(財産権の尊重等)
第30条 この条例の運用に当たっては、美瑛町の景観が公共の財産であることを認識し、景観づくりに努めるとともに、関係者の財産権及びその他の権利を尊重しなければならない。
(土地の買取り)
第31条 町長は、景観計画区域内において景観づくりに関し著しい影響があると認めた場合は、特に重要な土地を買い取ることができる。
(施行規定)
第32条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成27年7月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日前に改正前の美瑛の美しい景観を守り育てる条例(以下「旧条例」という。)第3章の規定によりされた処分、手続その他の行為については、なお従前の例による。
3 景観計画の策定及びこれに関し必要な手続その他の行為は、この条例の施行前においても、第9条の規定の例により行うことができる。
4 この条例の施行の際、現に旧条例第31条第1項の規定により設置されている美瑛町景観審議会は改正後の美瑛の美しい景観を守り育てる条例(以下「新条例」という。)第24条の規定により設置された審議会とみなす。
5 この条例の施行の際、現に旧条例第32条第2項の規定により町長が委嘱した委員は、新条例第25条第2項の規定により委嘱された委員とみなす。この場合において、委員の任期については、その者が旧条例第32条第2項の規定により委嘱された日から起算する。