議員辞職勧告決議による名誉毀損損害賠償請求事件(北海道新ひだか町)

○町村合併前の三石町議会が町議員に対して行った議員辞職勧告決議が、公共の利害に関する事実を指摘しており、公益目的があり、指摘された事実は真実であるとして、国家賠償法上の違法はないとされた事例


札幌地裁 平成19年12月12日判決
事件番号 平成18年(ワ)第519号
事件名 損害賠償請求事件
結果  棄却・控訴
出典 判例地方自治306号


【判決文】(抜粋)
主 文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第3 当裁判所の判断
1 〔中略〕
2 争点(1)(本件決議等が原告の社会的評価を低下させるか否か)について
 (1) 本件決議は、原告が町議会で他人のプライバシーに触れる発言を繰り返し、それによって他人の生活道路が封鎖されるという結果を招いたにもかかわらず、かかる結果について自己責任を免れるかのような行動をとり解決しようとしなかったなどの事実を述べた上で、議員を辞職すべきであると勧告するものであるから、本件決議は、原告の社会的評価を低下させるものといえる。また、本件決議に関する議案を提出したこと、本件決議に関する議案の審議をしたこと、本件決議を報じるみついし議会だより30号を発行したことも、それぞれ原告の社会的評価を低下させるものといえる。
   この点、被告は、本件決議によって、原告の社会的評価が下がったか疑問である旨主張する。たしかに、本件決議に法的拘束力はなく、摘示された事実は、単に原告の町議会での姿勢をいうものにすぎないが、町議会議員である原告にとって、議会でプライバシーに触れる発言をするなどの事実を摘示されることは、一般人の普通の注意と読み方を基準として判断すれば、原告の社会的評価が低下するといわざるをえず、被告の上記主張は採用できない。
 (2) もっとも、原告は、被告が本件決議について報道機関が報道することを止めなかったことも不法行為である旨主張するが、被告には報道を止める権限があるとは認められないから、原告の主張は採用できない。
 (3) なお、原告は、本件決議は、@本件決議に関する議案をあらかじめ運営委員会にはかっていないこと、A副議長であるZ2が本件決議に関する議案の提出者となっていること、B本件決議に関する議案について「追加日程第○号」とされていないことなどの事実が本件三石議会運営基準(以下「運営基準」という。)第24項、39項に反し、違法であるにもかかわらず、本件決議がされたことにより原告の名誉が毀損された旨主張する。
   しかしながら、名誉毀損が成立するためには、表現行為が対象者の社会的評価を低下させたことが必要であるところ、本件決議がされた際の手続が法令に違反したか否かは、本件決議によって社会的評価を低下させたかとは関係がないから、主張自体失当である。
3 争点(2)(公益目的)について
  本件決議は、町議会議員としての原告の言動に関して、原告の社会的、道義的責任を追求するものであり、その摘示した事実も議会における討論や視察旅行など議員としての職務活動に関わる事実であるから、その目的には公益性があるといえる。
4 争点(3)(真実性)について
 (1) 「甲野議員は本年3月の第2回三石町議会定例会において、他人の私生活に言及する一般質問通告書を提出し、議長職権で削除された経緯がある」との記載部分について
  ア 前記1で認定したとおり、原告は、第2回定例会において、質問の「事項」を「町長の町政執行方針について」、質問の「要旨」を「住民説明会の会場では町長自身のプライバシー(セクハラ)の件が出されていたが、どなたとのことを指していたのかもはっきりさせるべきであります。所信をお聞き致します」と記載した一般質問通告書を提出したが、Z3議長が議長職権で削除した。
    上記一般質問通告書は、住民に対する合併問題についての説明会において、住民が村井町長のセクハラ疑惑について説明を求めたのに対し、村井町長が否定したので、定例会でさらに釈明を求めたものと解されるところ、原告の質問内容は「どなたとのことを指していたのかもはっきりさせるべき」としていること、原告自身「プライバシー」としていることからすれば、村井町長やそのセクハラをした相手等の私生活に触れるような質問をする趣旨であったと認められるから、上記摘示部分は真実であるといえる。
  イ この点、原告は、原告が一般質問の対象とした事実は、町民が、町長という公人に対し、住民に対する説明会という公的な場所で、セクハラを指摘したという事実自体であるから、他人の私生活にわたる質問ではない旨主張する。
    しかしながら、質問の「要旨」からすれば、原告が一般質問において取り上げようとしたのは、町民が説明会で町長に釈明を求めたことがあったか否かではなく、町長が特定の者に対するセクハラをしたことがあったか否かであり、上記のとおり他人の私生活にわたる質問であるから、原告の主張は採用できない。
 (2) 「議会運営委員会で、質問の結果に起因する問題については自己責任で解決すべしとの確認をした後質問が許可されております」との記載部分について
  ア 前記1で認定したとおり、@原告は、第4回定例会に際し、「○○町の甲1さん」「私道を通らなければ行けない乙さんを含む3軒の方々」と個人名が明示されている一般質問通告書を提出し、Aかかる原告の一般質問通告書を受けて、第4回定例会前の運営委員会で、Z3議長は、個人名をあげて質問する場合には、あらかじめその個人に了解を取り付けた上で質問をしてほしいこと、個人名を出す質問については慎重に行ってほしいこと、特定の個人の名前を出すことを控えてほしいことなどを運営委員会に出席していた数名の議員らに要請した。Bその際、出席議員数名からは、個人名を挙げて質問する際には議員が責任をもって行うべきである旨の意見が出され、Cその後上記意見に対し異論を述べる議員はいなかった。かかる事実からすれば、「議会運営委員会で、質問の結果に起因する問題については自己責任で解決すべしとの確認がなされた」との摘示は真実といえる。
   また、@議長は、議会の秩序維持権を有し、AZ3議長は、第4回定例会に先立つ第2回定例会においても、原告の一般質問について、内容が不適切であるとして職権で削除していること、BZ3議長は、上記発言をした上で本件私道に関する原告の一般質問については削除しなかったこと、C原告の一般質問は個人が特定される質問にあたることからすれば、「自己責任で解決すべしとの確認がされた後に質問が許可されております」との摘示も真実であるといえる。
  イ この点に関し、原告は、運営委員会で話し合われたのは、一般論としての議員のなすべき質問の在り方であって、原告の一般質問について話し合われたわけではないから、原告の一般質問について「自己責任で解決すべしとの確認がされた後に質問が許可され」たわけではないと主張する。しかしながら、前記認定した事実によれば、個人を特定する質問について責任をとるべきであるとの意見は、運営委員会において、原告が個人名を記載した一般質問通告書を提出したのを受けて出されていると解される。よって、運営委員会では、今後一般的に議員らが一般質問をする際に、何か問題が起こった場合には自己責任で解決すべきと確認しただけではなく、原告の本件私道に関して質問をした結果発生する問題についても自己責任で解決すべきと確認されたと理解できる。したがって、原告の主張は採用できない。
 (3) 「甲野議員はこの問題を提起するにあたり、利害関係ある当事者4戸のうち1戸しか聞き取り調査を行わず」との記載部分について
  ア 前記1で認定したとおり、原告は、平成14年ころ、乙に対し、面談を行いその実情等を聞き、抜け道の整備について問題解決に助力してほしい旨協力を依頼されたことは認められるものの、丙及び丁に対しては、原告自身が認めるように、玄関先で少し話をした程度であり、本件一般質問をするに際し、改めて面談をしていない。したがって、「甲野議員はこの問題を提起するにあたり、利害関係ある当事者4戸のうち1戸しか聞き取り調査を行わず」との摘示部分は、真実といえる。
  イ 原告は、平成14年ころ、乙、丙及び丁と面談の上、聞き取りを行ったから、上記摘示は真実ではないと主張する。
    しかしながら、前記アのとおり、丙及び丁に対しては事情をほとんど聴取していないこと、本件一般質問をするに際し、改めて聞き取りをしていないことからすれば、その主張は採用できない。
 (4) 「質問の主旨と全く関係のない個人のプライバシーに触れるおそれがある討論を繰り返し」「この結果10月1日より3戸が生活道路を封鎖されるに至りました」との記載部分
  ア(ア) 前記1で認定したとおり、原告は、質問の「事項」を「三石町全域整備事業の立案について」としているにもかかわらず、質問の「要旨」を「国や道が新しい政策・事業の推進にあたり、一つでも多くの仕事を持ってくるには、どのようになされていますか。」とし、「要旨」の一部として「特に○○町の甲さん宅、私道を通らなければ行けない乙さんを含む3軒の方々」について「早急に抜け道を整備され、安心して暮らせるよう防災対策に取り組んで頂きたい。」との質問をしている。このように、原告は、ごく少数の特定の住民に係る問題の質問をしており、質問の「事項」に記載した質問の主旨との関連性が必ずしも明確ではない質問をしているといえる。
    また、前記1で認定したとおり、原告の上記質問に対し、Z1課長は、本件私道は「地権者から賃借して道路として使われ」ていること、現状においては抜け道整備の必要性がないと考えていることなどと回答をしたが、原告が、村井町長に対しても答弁を求めたため、村井町長は、@「○○町の道路の件」とした上で、過去にも、自治会長を交えて関係者(乙ら)と地主(甲1)が話し合った経緯があること、Aこの問題は、地主(甲1)と利用者(乙ら)の姿勢等過去の経緯が様々絡んでいること、B道路の新設がうまくいくか問題もあること、C本件私道に関する抜け道の整備の問題については、拡幅する等対応することが望ましいのではないかなど検討中であるので、考えさせてほしいと述べた。これに対し、原告は、さらに、村井町長の答弁に対し、検討にどの程度の期間かかるのか、下水道の整備とともに、並行してどのような考えがあるのかなどと質問した。また、原告は、本件各土地が海に隣接していることから、火事になった場合に消防自動車が入るのかなど問題は大きいため、担当の課長に任せるのではなく、町理事者として積極的に取り組んで欲しい旨述べた。村井町長は、@この問題で、一番大事なことは相手がいることであること、A過去にこの問題には何回もかかわっていること、B町が入り口のところを買収すれば良いが、そうはならないかもしれないこと、Cこの問題が議会に出ること自体が、地主(甲1)を怒らせる結果になるのではないかと危惧をしていること、Dこういう質問をするのは十分わきまえるべきこと、Eこの問題について、甲1や乙ら、地元自治会長の協力により進めていきたいなどと述べた。
    このように、原告は、ある特定の住民が道路幅が狭い私道を通らざるを得ない状況になっていることを指摘し、抜け道の整備の必要性について町長の方針を尋ねたが、原告の質問を発端として、本件私道は「地権者から賃借をして通行していること」、本件私道について従前話し合いがもたれた経緯があること等が明らかになったといえる。そしてこれらの事実は、甲1や乙らが本件私道をどのように利用しているかを窺わせる事実であるから、個人の私生活上の事実といえるし、生活上必要な道路について対価を支払ったり受け取ったりしていることなどは一般人にとって通常知られたくない事柄である。
    さらに、原告は、質問をして、Z1課長が回答した後、再度村井町長に答弁を求め、村井町長から回答を得た後、再び「○○町の道路」と個人が特定できる言葉を用いて、質問をしている。
    したがって、「質問の主旨と全く関係のない個人のプライバシーに触れるおそれがある討論を繰り返し」との摘示は真実であるといえる。
   (イ) そして、本件一般質問がみついし議会だよりに掲載されたこと、甲1自身が当該質問を理由として本件通行止めをしたと認めていることから、原告の本件一般質問によって、結果的に本件通行止めが行われたことは否定できない。したがって、「この結果10月1日より3戸が生活道路を封鎖されるに至りました」との記載部分も真実といえる。
  イ この点について、原告は、質問の主旨は、防災対策のための抜け道の整備に対する三石町の考え方を問うものであり、主旨から離れた質問ではない旨主張する。
    しかしながら、防災対策のための抜け道の整備に関する町の考えを問うだけならば、定例会で個人が特定できる形で質問する必要性はなかったのだから、あえて個人が特定できる形で原告が一般質問で取り上げたことに違和感を感じたZ3議長が、質問の主旨と全く関係のない討論と指摘したのは理解できるところであり、質問の主旨と全く関係がないとまで断定したことについても相当といえるから、原告の主張は採用できない。
    また、原告は、Z1課長が本件私道について通行料を乙らが支払っているという事実を指摘して答弁したのであって、同事実は、原告の一般質問に対する答弁に必要のない事実であったから、原告がプライバシーに触れるおそれのある討論を繰り返し行ったわけではないと主張する。そして、原告は、甲1自身も、平成16年9月に甲1の居宅で面談した際に「あの答弁は何ですか」と言っていた旨供述し、原告の「質問」ではなくZ1課長の「答弁」に問題があった旨主張する。
    しかしながら、Z1課長は、抜け道の整備について町の方針を問われたから、従前の町の取り組みの経緯について答弁したのであって、Z1課長は一般質問に対して答弁をしなければいけない立場にあることも考え併せると、通行料をとっていること等本件私道に関して抜け道の整備がうまく運ばない経緯についても答弁する必要性がないとはいえない。よって、Z1課長の答弁は、原告の質問に対する答弁として不適切であるとはいえない。したがって、原告の本件一般質問自体が個人のプライバシーに触れるおそれがあるといわざるを得ず、この点に関する原告の主張は採用できない。また、甲1の「あの答弁は何なんですか。」という発言については、その発言をした前後の文脈が不明であり、甲1が「質問」と「答弁」を明確に使い分けていたと認めるに足りる証拠もない。したがって、甲1の発言を前提としても、上記摘示が真実であるといえる。
 さらに、原告は、甲1が本件通行止めをしたことは違法行為であってなんら正当化すべき理由はないし、議会における一般質問によって本件通行止めがされるとは全く予期できない突発事態であるから、原告の一般質問が法的にも道義的にも責任を負うべきことがらではなく、原告の質問と本件通行止めとの間には、因果関係がないと主張する。
    しかしながら、本件決議は、原告に本件通行止めの法的責任があることまでを指摘したものとは認められない。また、前記1で認定したとおり、甲1は、本件一般質問及び答弁に怒りを感じた結果本件通行止めをしたところ、甲1が通行止め等何らかの措置をすることは、村井町長が本件一般質問により甲1を怒らせることになるのではないかと述べていること、原告が事前に慎重に一般質問を行うべきである旨告知されていたことからすれば、原告に予想することが困難であったとはいえない。さらに、原告が一般質問として本件私道の問題を取り上げることについて事前に乙らに了承を得ていないことからすれば、Z3議長が町議会議員として道義的責任を問われるべきとの考えのもと、「この結果」と本件決議に記載し、原告の一般質問と本件通行止めを関連づけて記載したことが事実誤認であるとはいえない。したがって、「この結果10月1日より3戸が生活道路を封鎖されるに至りました」との記載は真実であるといえるから、原告の主張は採用できない。
 (5) 「通行止めが予想された時点で、議会運営委員長より勝手な行動を慎むよう注意したところですが、これを無視した」との記載部分
  ア 前記1で認定した事実によれば、Z4委員長は、原告に対し、原告の解決の進め方では簡単にいかないだろうから、甲1の家に行かないでほしいと伝えたにもかかわらず、原告は、Z4委員長の助言に従うことなく、その5日後、甲1の家を訪れ、また7日後、甲1の家を訪れたが、甲1との間で全く話し合いをすることができなかったことが認められる。したがって、上記記載は、真実であるといえる。
  イ 原告は、議会運営委員長から勝手な行動を慎むようにとの注意を受けたことはない旨主張し、その本人尋問において、そのときは行かないでほしいという話は受けたが、勝手な行動をしないでくれというような文言でいわれたことはない旨述べる。
    しかしながら、原告は、上記認定のとおり行かないでほしいとZ4委員長から助言を受けたことは明らかであり、にもかかわらず、原告はあえて自らの進め方で甲1の家に行ったものの、ほどなく追い返されているのであって、原告の主張は採用できない。
 (6) 「通行止めになる前に当事者より再三自己責任で解決するよう催告を受けながら努力を怠り、自己主張を繰り返し、生活道路を封鎖された町民に対して自己責任を免れるかのような書簡を送るなどした」との記載部分
  ア 前記1で認定した事実によれば、乙らは、原告に対し、少なくとも平成16年9月10日ころから本件決議に至るまで、本件交通止めの原因が原告の一般質問にあるから、甲1に会うなどして本件通行止めを解くように努力してほしいなどと再三にわたり催告していることが認められる。したがって、「通行止めになる前に当事者より再三自己責任で解決するよう催告を受けながら」との記載は、真実であるといえる。
    また、前記1で認定したとおり、@原告は、Z4委員長が原告に甲1の家に行くようにと助言してもこれを聞かず、A原告が甲1に会いに行けば本件通行止めが解除されるところまで一時はなったにもかかわらず、原告はその際甲1に会いに行こうとはせず、B後述(7)で述べるように、原告は、本件通行止めについて自分に責任はなく、その解決をする意思がないといい、C原告は、乙に対し、甲1に本件私道に関する問題解決を原告に求めたことを告白すべきである旨の書面を送付している。かかる事実関係からすれば、本件通行止めに関し、解決の「努力を怠り、自己主張を繰り返し、」「自己責任を免れるかのような書簡を送るなどした」といえる。したがって、上記記載は、真実であるといえる。
  イ この点、原告は、法律相談に出向き、乙らの家を訪れるなど、通行止めの解決のために意を尽くしており、努力を怠ったことはない旨主張する。
    確かに、原告は、前記1で認定したとおり、平成16年9月10日、同月14日、同年10月5日、同月8日、同年11月4日、乙の自宅を訪れている。しかしながら、一方で、原告は、前記アの書面を乙に送ったり、Z4委員長が原告に甲1の家に行くようにと助言してもこれを聞かないこともあったのであるから、原告自身が上記努力をしていたとしても、上記摘示の真実性が阻却されるとはいえないから、原告の主張は採用されない。
 (7) 「12月8日急遽開催された議員協議会で取扱いを協議した際、自己責任でこの問題を解決する意思が無いことを明言したばかりか、12月14日開催の本定例会にも再度町理事者に責任を転化する如き一般質問通告書を提出し」との記載部分
  ア 前記1で認定したとおり、原告は、議員協議会で、甲1のところに本件通行止めを解決するために話をしに行く気は全くないし、本件通行止めについては自分に責任はなく、その解決をする意思がないといった。したがって、「12月8日急遽開催された議員協議会で取扱いを協議した際、自己責任でこの問題を解決する意思が無いことを明言した」との記載は、真実である。
    また、原告は、前記1で認定したとおり、村井町長は、本件通行止めについて原告の本件一般質問が原因であるというが、「抜け道の整備の関係と通行止めの関係はどこにあるのですか。町長は、少なくとも行政の責任ある立場にありながら、行政としての対応も省みず、私と致しましては大変侵害(ママ)であります。町長の責任あるご答弁を願います」などと記載した一般質問通告書を提出している。同通告書は、本件通行止めに関する責任が原告にあると述べた町長に対し、いかなる根拠に基づくのかを問うとともに、町長の行政としての対応の不備を問うものと理解できるから、「12月14日開催の本定例会にも再度町理事者に責任を転嫁する如き一般質問通告書を提出し」との摘示も、真実といえる。
  イ これに対し、原告は、摘示された事実は一切ないと反論するが、この点について具体的に反論せず、また、反論を裏付ける的確な証拠もない。したがって、原告の主張は採用できない。
 (8) 「議長がこれを許可しない旨事前に通告したにもかかわらず、議会事務局長をして質問項目に加えさせ、一方的に持論を展開」との記載部分
  ア 前記1で認定したとおり、Z3議長が前記1(5)ア(ア)の質問を許可しない旨述べたにもかかわらず、原告は、事務局長に対し、一般質問をすることについて議長から承諾を得ていると答えている。したがって、「議長がこれを許可しない旨事前に通告したにもかかわらず、議会事務局長をして質問項目に加えさせ」との摘示は、真実といえる。
    また、原告は、前記1で認定したとおり、運営委員会で、「なぜ私に原因があるのか、私の一般質問と通行止めとの因果関係がどこにあるのか」などと述べており、かかる発言は、本件通行止めについて町長の責任を問うかのような一般質問通告書と同趣旨であると窺われる。前記(4)で説示したとおり、原告のした本件一般質問を契機として、原告のその後の対応が効を奏しなかったことによって、本件通行止めが行われ継続したところ、被告が原告に道義的責任があると考えたことは直ちに不適切とはいえないから、「一方的に持論を展開」との摘示は、真実といえる。
  イ これに対し、原告は、摘示された事実は一切ないと反論するが、この点について具体的に反論せず、また、原告の反論を裏付ける的確な証拠もない。したがって、原告の主張は採用できない。
 (9) 「10月に行われた総務文教委員会の道内行政視察も無断で欠席し」との記載部分
  ア 前記1で認定したとおり、原告は視察の前日になって突如視察を欠席する旨事務局長に連絡し、その後事務局長からの問い合わせに応答していない。視察も公務であること、正式に欠席することの許可はないこと、原告は前日に突然欠席する旨の連絡をしながらその後の問い合わせに応答していないことからすれば、「10月に行われた総務文教委員会の道内行政視察も無断で欠席し」との摘示は、真実といえる。
  イ 原告は、視察に先立ち、議会事務局に欠席する旨申し出ていること、その理由も公費の無駄遣いを避けたいという政治的信念に属するものであることから、「無断欠席」ではない旨主張する。
    しかしながら、上記事情にかんがみれば、原告の主張は採用できない。
 (10)「議会事務局員を信頼せず、私的な恨みから議会事務局長の更迭を度々求めるなど」との記載部分
  ア 前記1で認定したとおり、原告は、@事務局長や当時助役であったZ2に対し、議会職員を替えるにはどうしたらいいかなどと聞いているほか、A事務局長についての監査請求に対する必要性がないとの判断について一般質問通告書で釈明を求めていること、B原告は、事務局長が極めて職務怠慢であるから理事者の答弁を求めるといった質問をしようとしていたことからすれば、「議会事務局員を信頼せず、私的な恨みから議会事務局長の更迭を度々求めるなど」との摘示は、真実と認められる。
  イ これに対し、原告は、摘示された事実は一切ないと反論するが、この点について具体的に反論せず、また、原告の反論を裏付ける的確な証拠もない。したがって、原告の主張は採用できない。
 (11)まとめ
   以上からすれば、本件決議で摘示された事実は、いずれも真実であるといえる。
5 以上に認定、説示したところによれば、本件決議は、原告の社会的評価を低下させるものの、公共の利害に関する事実を指摘しており、公益目的があり、摘示された事実は真実であるといえるから違法性が阻却される。
  そして、本件決議について違法性がない以上、本件決議に関する議案を提出したこと、本件決議に関する議案の審議をしたこと、三石町議会広報委員会所属の議員によって本件決議を報じるみついし議会だより30号を発行したことについては、違法性が阻却されるというべきである。
第4 結論
 そうすると、その余の争点について判断するまでもなく、原告の本件請求は理由がない。したがって、原告の請求をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。